197 ページ47
伊「桜くん…。」
横から聞こえた声に一斉に視線を向けると
ハコ長が真っ直ぐ桜さんを見据えていた。
桜「伊賀崎さん…。」
伊「……久しぶり。」
桜「…お久しぶりです。」
パッと山田さんを見ると、ゆっくり頷いてる
どうやら同じことを思ったらしい。
牧高さんと鈴木さんにもアイコンタクトで
その場を離れるよう指示をしていた。
2人から少し離れた後、どんな会話をしているかは分からないけど
なんとなくわだかまりがゆっくりゆっくり解けていくような、
凍っていたものが徐々に溶けていくような、
そんな雰囲気が伝わってきた。
山「いいのか、全然話せてないけど。」
『いいんです、今話したらきっと泣いちゃうから。』
.
.
3人と離れ私は更衣室の扉を開けると
藤さんは到着していて着替えを始めていた。
『おはようございます、早いですね。』
藤「おはよ。川合と会わなかった?今出てったけど。」
『会ってないです、…下で桜さんには会いました。』
藤「そうなんだ、話せた?」
『いえ、泣きそうだったので全然。』
藤「ふふ、Aらしいね。」
川「藤さん!加藤さん!桜さんきてます!」
ドタドタドタ、という足元と共に
川合ちゃんが勢いよく飛んできた。
藤「うん、知ってるよ。」
川「今から退官願出すって。」
藤「知ってる。」
川「いいんですか?止めなくて。」
藤「桜が決めたことだから、私はそれを尊重する。」
『もう交番に行こっか。』
川「待ってください、せめて会っていくだけでも…。」
藤「だからこれから公務だから。」
間があいて黙ったまま川合ちゃんは飛び出して行った。
『若いですね。』
藤「あんたもでしょうが。」
そんな軽口を叩いていると、
遠くの方で誰かが何かを大声で話し始める声が聞こえた。
私たちはすぐ顔を見合わせて
荷物を持ち更衣室を出て、声の方へ歩いていく。
.
738人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なこ(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます!山田さんとのやりとりの続き楽しみにしてたので、読めて嬉しかったです!引き続き応援してます!! (2022年10月5日 16時) (レス) @page33 id: 247691cc0f (このIDを非表示/違反報告)
みい(プロフ) - お話とっても素敵で、一気読みしてしまいました…!次の更新も楽しみにしています! (2022年10月1日 11時) (レス) @page32 id: 354ae59861 (このIDを非表示/違反報告)
りんりん - 続き待ってます! (2022年9月16日 19時) (レス) @page32 id: b69c396b13 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ - 更新楽しみにしてます! (2022年9月5日 17時) (レス) @page32 id: f05da85961 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - この絶妙な更新間隔といい、次が気になる終わりといい見事に感情が振り回されてます。2人の関係がどうなるか楽しみです。 (2022年7月24日 1時) (レス) @page31 id: 6b4a195c64 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みい | 作成日時:2022年6月8日 0時