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「かんぱーい。」
『かんぱーい。』
駅前の居酒屋は思いの外空いていて
私たちは個室の席へ通された。
「あー、仕事終わりの一杯はうめぇ！」
『何食べますー？あ、私これ食べたいです。』
「んー、俺はこれ。」
『わかりました、テキトーに頼みますね。』
店員さんにあれこれフードを注文し
個室の扉が閉められると途端に訪れる沈黙。
いつもは気にならないのに
今日はとっても気まずい。
「てかさ、今日はどうしたのよ。」
『え？』
「いや、いつもなら"聞いてくださいよ、山田さぁん"て
あれこれ話してくるじゃん。大人しいなって。」
『そ、そんなことないですよ？』
「そうかぁ？」
山田さんは首を傾げている、
この男はつくづく私の気持ちを理解していない。
『……この間のこと、謝りたくて。』
「この間？」
『資料室で、ちょっと言いすぎたな、って…。』
「あぁ、あれね。大分傷ついた。」
『うっ…山田さん、本当にごめんなさい。』
「けど、そんだけ俺がAを傷つけたってことだから
俺の方がごめん。」
山田さんが深々と頭を下げるから
後輩なのに私はなんてことをさせてるんだと慌ててしまう
『ちょ、や、山田さん！頭上げてください！』
「それに俺、嬉しかったんだよ。」
『う、嬉しかった？』
「そ、自動車盗難の時、俺の勘違いじゃなかったら
"大切な人"って言ってくれたろ？」
『あっ…それは言葉の綾…。』
「理由はなんだっていいんだよ、俺からしてみれば。
だけど、俺にはそれがめっちゃくちゃ嬉しかったんだ。
Aの中で俺の存在が少しでもあるなら、それだけでいい。」
『山田さん…。』
「違う女の人と会ってたのは俺が悪い。
Aは何も悪くないし怒るのも信頼がなくなるのもわかる。
自分でも分かってたんだよ、他の人と会わなくたって
俺にはAしかいないんだ。って。」
.
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なこ(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます！山田さんとのやりとりの続き楽しみにしてたので、読めて嬉しかったです！引き続き応援してます！！ (2022年10月5日 16時) (
レス) @page33 id: 247691cc0f (このIDを非表示/違反報告)
みい(プロフ) - お話とっても素敵で、一気読みしてしまいました…！次の更新も楽しみにしています！ (2022年10月1日 11時) (レス) @page32 id: 354ae59861 (このIDを非表示/違反報告)
りんりん - 続き待ってます！ (2022年9月16日 19時) (レス) @page32 id: b69c396b13 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ - 更新楽しみにしてます！ (2022年9月5日 17時) (レス) @page32 id: f05da85961 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - この絶妙な更新間隔といい、次が気になる終わりといい見事に感情が振り回されてます。2人の関係がどうなるか楽しみです。 (2022年7月24日 1時) (レス) @page31 id: 6b4a195c64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みい | 作成日時：2022年6月8日 0時
