【ハコヅメ】同期しか勝たん

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署長室を出て、エレベーターに乗り込み、一階へのボタンを押すと、一つ下の階で止まった



『あれ、先輩』


「おう海月。何してんだ」


『交通課に書類を提出に。先輩は？』


「ああ、実は……」


『ちょっと待ってください。上の階にあるのって署長室だけですよね？
先輩、何かやらかしたんですか！？』



誰のために俺が署長室行ったと思ってるんだ

まあ海月には何も言ってないから本人が知らなくても仕方のないことだが



「何もしてねぇよ。

町山署に女子中高生を狙った連続傷害事件の合同捜査本部が出来たことは知ってるか？」


『ああ、はい。同期から聞きました』


「その被疑者な、お前がこの前相手した蕪木千雨ちゃんの加害者の可能性があるんだ」


『…そうなんですか』


「その捜査に参加しろって」


『…先輩がですか？』


「お前もだよ」


『え、でも私ただのハコ勤務なのに、刑事でも何でもないのになんで…』


「お前の働きを、署長も知っててくれたんじゃないか？」


『………ひょっとして先輩がお願いしてくれたんですか？』


「嬉しくねぇのか？」


『嬉しいですよ、嬉しいに決まってるじゃないですか』


「じゃあもっと素直に喜べよ」


『素直に喜んだら涙出ちゃうんで』


「泣きゃあ良いだろ」


『やですよ、先輩の前で泣くなんて。
だって先輩、私が泣いたら一生いじり続けるじゃないですか』


「……そうだなぁ、飲み会のネタにするだろうな」


『でしょう？！ だから泣きません！』


「…ちょっと涙目じゃねぇか」


『泣いてません！』


「そうかよ。

捜査には今日から参加する。通常の公務と平行だから、かなりハードだぞ」


『…被害者の子たちのことを考えたら、キツいとか言ってられません』


「…そうだな。よし、じゃあ交番戻るぞ」


『はい！』



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