9.命令などするまでもない ページ49
とある晴れた日の昼下がり、穏やかな時間が過ぎていた我々国軍基地内に、成人男性の癇癪が響き渡る。
「やだやだやだやだいやなんじゃ〜！！」
バリトンボイスで抗議し続けるのは、この国を治めるグルッペン。
オスマンが持ってきた一枚の招待状を放り投げ、そっぽを向いて断固拒否の姿勢を貫いている。
「うーん、困っためう」
大して困っていなさそうな声色と表情で眉を下げ、隣に立つトントンを見上げた。
「オスマン先生、絶対困ってないやろ」
「そんなことないですぅ、困ってますぅ」
「口角が上がってんだよなぁ」
「あは、ばれちゃった」
駄々をこねるグルッペンは毎度の事なのでどうしようもないが、これを宥めるのはトントンである事を忘れてはいけない。
兎角このグルッペンという男は、社交パーティーというものが大嫌いだった。
新興国家という事もあり、周辺諸国にあまり情報が開示されていない。だからこそ、社交の場に出てきた幹部連中に擦り寄って、情報を得ようとする輩が多いのだ。
特に今回招待状を送ってきたのは、最近キナ臭い噂の多いリゲイータ国。社交パーティーで何があるか分かったものではない。グルッペンへ名指しで招待状を送ってきたものだから尚更。
その事を分かっているからこそ、トントンも今回ばかりは出席しろと強く言えないでいた。
しかし、出席しないのも周辺諸国に悪印象を与えてしまう。
さてどうするか、と溜め息をついたところで総統室の扉をノックする音が聞こえた。
次いで入室を問う声も。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 45人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハコ(プロフ) - 弥生夏さん» コメントありがとうございます。こういったタイプの主人公くんを動かすのは初めてなので、とても嬉しいです。ゆっくり更新になりますが、気長にお待ちいただけると幸いです。 (2020年6月28日 0時) (
レス) id: ad61983e44 (このIDを非表示/違反報告)
弥生夏(プロフ) - かっわいい！高評価あと50回くらい押したい！更新頑張ってください！応援してます！ (2020年6月26日 7時) (レス) id: 2f1398aac7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハコ | 作成日時：2020年6月20日 0時
