8.その一言は身に余る ページ38
軍基地に於いての観光客侵入事件から一週間、謹慎の命を受けたAはグルッペンから与えられた問題に頭を悩ませていた。
ご主人と仲直りをする。
それがこんなにも難しい問題だなんて、人の身を得る前までは想像も出来なかった。
武器であることは、唯一の誇りだった。
そのことでしか、役に立てないとも。
だけれどそれは悲しいことだとエーミールが言っていた。
答えをもらえないことは、オスマンがはっきりと言っていたのでそうなのだろう。
他の人に聞いても、恐らく既に根回しがされているので望みは薄い。
ただ、グルッペンは謹慎とは言ったが他の人と交流してはいけないとは言っていなかったことを思い出す。
トントン以外の人と交流することで、何か得られるかも知れない。
そう考えたAは、居候させてもらっているエーミールの部屋から飛び出した。
ふらふらとあてもなく歩いて着いたのは狙撃場。
ぱん、と的を打ち抜く音が聞こえる方に足を向けると、ちょうど全弾撃ち終わったショッピがヘッドフォンを外すところだった。
「あれ、こんなとこに来るの珍しいっすね。
どうしました？」
「ショッピ殿、邪魔してしまい申し訳ありません…」
「ええですよ、ちょうど終わったとこですし。
……こっちでちょっと話しましょか」
ショッピに連れられてきたのは、射撃場に程近い喫煙所だった。
煙草を吸ってもいいかと目線で訴えられたので、Aも頷くことで了承する。
年季の入ったジッポをカチリと鳴らし、ふぅと一息つく。
ちらりと横目でAを見遣ったショッピは、自他ともに武器だなんだと言われているこの少年が、少しずつヒトに近付いているのかも、なんて思っていた。
それほどまでにAは悩み、苦しんでいる。
先輩と後輩、主人と従者。
関係の名称は違えど、似通った立場にいるからこそ聞ける悩みもあるかも知れない。
存外ショッピはAに甘かった。
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ハコ(プロフ) - 弥生夏さん» コメントありがとうございます。こういったタイプの主人公くんを動かすのは初めてなので、とても嬉しいです。ゆっくり更新になりますが、気長にお待ちいただけると幸いです。 (2020年6月28日 0時) (
レス) id: ad61983e44 (このIDを非表示/違反報告)
弥生夏(プロフ) - かっわいい！高評価あと50回くらい押したい！更新頑張ってください！応援してます！ (2020年6月26日 7時) (レス) id: 2f1398aac7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハコ | 作成日時：2020年6月20日 0時
