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「A、二人の件はようやった。
ここはええから、離脱せぇ」
「…ご主人、申し訳ありません。
その命令には従えないです」
言葉と同時に、Aがトントンの前へと進み出る。
その目は敵を前にして明確な殺意を持って睨み付けていた。
「ご主人を傷付けたあれは、僕の、獲物です。
例えご主人でも、譲れません」
「は、おい、A！？」
普段のAからは想像もつかない『獲物』という言葉でトントンの気が一瞬逸れた隙に、Aが侵入者に迫る。
ダガーナイフと短刀では、短刀の方が間合いで分が悪いが、それすらも感じさせない速さでダガーナイフの間合いを突破する。
侵入者は間一髪弾くも、すぐにAの連撃が侵入者を襲った。
「クッ、ソがァ！」
太腿を銃弾が貫通しているとは思えない攻撃を繰り出すAに、今まで一言も発さず冷静に逃げ果せる事だけを考えていた侵入者に、一瞬の焦りが見えた。
と同時に、Aの短刀が侵入者の喉笛を狙う。
刃が切り裂こうとした瞬間、トントンの怒声が響いた。
「殺すな！！」
刃は、侵入者の喉元の皮一枚手前でびたりと止まった。
それを見逃さず、侵入者はAの身体を蹴り飛ばす。
受け身も取れずに飛んできたAを、トントンが受け止めた。
侵入者は好機とばかりに柵へ走り出すが、しかし脱出は叶わなかった。
屋上へ続く扉前に待機していたゾムが、目にも留まらぬ速さで侵入者の腱を裂き、その場に沈める。
侵入者は気絶していた。
「ひひひっ、いっちょあがりぃ」
「はぁぁぁ、ゾム、ようやった…」
ふーっふーっと未だ荒い息を吐くAを羽交い締めにしながら、トントンはゾムを労った。
気絶した侵入者の上にどかりと座ったゾムは、物珍しそうにAを見る。
「A、あんな顔もするんや」
「俺やって初めて見たわ。情報を吐かせるから、殺したらあかんて言ったんやけどな」
「まぁでも、お手柄ちゃう？」
「せやな…」
「なんや、不服そうやん」
ゾムの問い掛けには答えず、今も射殺さんと目を光らせるAを俵担ぎにした。
そこでようやく正気に戻ったAが戸惑いの声を上げる。
「ご主人、あの、自分で歩けますから…！」
「あかん。大人ししとき」
「っでも…！」
「命令」
「ぅ…はい…」
「あーあ、あれは相当お冠やなぁ」
言い縋るAを一言で黙らせ歩き出すトントン。
それを見たゾムは侵入者の首根を掴みながらやれやれと見送り、自身は侵入者を地下牢に入れるべく歩き出した。
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ハコ(プロフ) - 弥生夏さん» コメントありがとうございます。こういったタイプの主人公くんを動かすのは初めてなので、とても嬉しいです。ゆっくり更新になりますが、気長にお待ちいただけると幸いです。 (2020年6月28日 0時) (
レス) id: ad61983e44 (このIDを非表示/違反報告)
弥生夏(プロフ) - かっわいい！高評価あと50回くらい押したい！更新頑張ってください！応援してます！ (2020年6月26日 7時) (レス) id: 2f1398aac7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハコ | 作成日時：2020年6月20日 0時
