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いつの間にか、僕は泣いていた。
エーミール殿がそっと涙を拭ってくれたから、泣いていることに気が付いた。
「それは、とても悲しい考え方ですね」
「ほんまや！俺らはAのこと、ただの武器やなんて思ってないもん！」
頬を膨らませて、心外だというように怒るオスマン殿を、エーミール殿が宥めて僕に視線を向ける。
「武器としての誇りは、Aくんにとって大切なものなのでしょう。
でも、貴方は人の身を得た。
人は怪我をしたら痛いものです。人が怪我をしたら辛いと思うものです。特に、大切な人が怪我をしたら、私は悲しいですね」
「答えはあげられん。これはAが自分で導き出すもんやから。
せやけど、今エミさんが言ったことはちょっとしたヒントや。
その手入れ？で怪我は治るかもしれんけど、せっかくお休み貰ったんやし、ゆっくり考えたらええよ」
ぽんぽんと頭を撫でられ、にこりと笑うオスマンさんを見上げる。
すると、怪我をした部分がほんのり暖かくなって僅かに光り出した。
その光が消える頃には、僕の怪我はすっかりなくなってしまっていた。
「はぇー、ほんま凄いなぁ」
「あっという間に消えてしまうんですね…」
「せやけど、痛いもんは痛いんやから、これから怪我したら絶対俺んとこ来ること！ええね？」
「分かり、ました…」
「よっしゃ、お部屋まで送ろか。っても、トントンと同部屋やったな…」
「でしたら、しばらく私の部屋に泊まられますか？」
オスマン殿の言葉に、今まで忘れていた問題を思い出してしまった。
僕個人の部屋は無く、ご主人と相部屋させてもらっているのでどうにも戻りづらい。
そこでエーミール殿の提案は、願ったり叶ったりだった。
だけど、そこまでお世話になっていいものか。
別に、蔵でもどこでも僕は休めるのに。
「む、Aが今考えとること当てたろうか。
倉庫でもどこでも休める、せやろ？」
「ぁ、え、なんで…」
「これでも外交官やから」
「そんな事を考えていたんですか、尚更私の部屋で休んでください」
さぁ、行きましょう。
差し出されたエーミール殿の手を取ると、ぐいと引き上げられ子供にするような抱えられ方をされる。
慌てて降りようとしても、咎めるように揺さぶられてしまったら大人しくする他ない。
ご主人の真意を知るまで、僕はエーミール殿のお世話になることとなった。
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ハコ(プロフ) - 弥生夏さん» コメントありがとうございます。こういったタイプの主人公くんを動かすのは初めてなので、とても嬉しいです。ゆっくり更新になりますが、気長にお待ちいただけると幸いです。 (2020年6月28日 0時) (
レス) id: ad61983e44 (このIDを非表示/違反報告)
弥生夏(プロフ) - かっわいい！高評価あと50回くらい押したい！更新頑張ってください！応援してます！ (2020年6月26日 7時) (レス) id: 2f1398aac7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハコ | 作成日時：2020年6月20日 0時
