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「どういうことなのッ!!!」
知念の声が俺たちの耳に突き刺さる。
バスへ戻った俺たちを迎えた待機メンバーは、見送った時とは変わり果てた皆の姿に激怒し、涙を流した。
戻った先には恐らく俺たちの様子に気づいたであろうマネージャーや、警察も駆けつけていた。
警察は真っ先に廃墟の中へと入っていき、代表として薮ちゃんが警察に事情聴取されることになった。
「ヒカは血出てるし、涼介の綺麗な顔は腫れちゃってるし...っ、何より...っ、い、いのちゃんがぁ...っ!! 」
怒りと悲しみか分からない表情を露にして知念はボロボロと涙を流す。
それは知念の少し後ろで静かに泣いている圭人も一緒だ。
裕翔は泣きながら警察と共に今にでも廃墟へ飛び込もうとしてマネージャーの一人に取り押さえられており、
高木はただただ悲しそうに、深い眠りにつく伊野ちゃんを見つめていた。
「あの...みんな、ちゃんと待っててくれてありがとう。
とりあえず、伊野ちゃんは無事だから安心して欲しい。皆は何も無かった...? 」
薮ちゃんがいないため、戸惑っている皆に対して唯一無傷の俺が伝えた。
「見れば分かるでしょ!マネージャーも来て何事もなかったよ...こんなことなら、僕たちも行けばよかった...ううっ... 」
「知念... 」
心から悲しんでいる彼女に胸が痛み、かける言葉を失ってしまった時、静かに伊野ちゃんを見ていた高木が口を開いた。
「知念、裕翔、圭人。
俺たちが有岡くん達を見送る前、どんな約束したか覚えてる?」
「え... 」
「例え、伊野尾くんがどんな姿で帰ってきても俺たちは今まで通りに伊野尾くんを迎え入れるって約束したよね... 」
高木は3人に優しく微笑みかけ、また伊野ちゃんの方を見る。
「それにさ...今の伊野尾くん、凄く安心したような顔で寝てる」
そう言われて伊野ちゃんと顔を覗くと、俺たちがあの地下で見つけた時の寝顔とは打って変わって、子供のように安らかに眠りについていた。
「ほんとうだ... 」
「うん..有岡くんたちは約束通り、伊野尾くんを無事に連れて帰って来てくれたんだよ。
だからさ...俺たちもちゃんと伊野尾くんを迎え入れなきゃね?」
「雄也... 」
「高木くん...!」
知念、裕翔、圭人の3人は赤くなった目元を擦りながら涙を拭き、もう一度伊野尾ちゃんの顔を覗き込む。
そして...______________
「「「おかえりなさい、伊野ちゃん...!!」」」
いつも通りの笑顔で彼を優しく迎え入れた。
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ぽんた(プロフ) - 大好きなお話です!完結いつまでも待ってます! (2021年12月30日 16時) (レス) id: 26174ade27 (このIDを非表示/違反報告)
もろ(プロフ) - 由利香さん» 待っていてくださり、本当にありがとうございます。最後まで頑張りますね! (2021年3月8日 22時) (レス) id: 961faf5e6b (このIDを非表示/違反報告)
由利香(プロフ) - 応援しまくります( ; ; ) (2021年2月22日 23時) (レス) id: efc7aaf80d (このIDを非表示/違反報告)
もろ(プロフ) - 雫さん» 本当に優しいお言葉ありがとうございます...!力になります(T_T)必ずこの作品は完結させたいと思っておりますのでこれからもよろしくお願い致します (2020年9月20日 1時) (レス) id: 0e9e1c0fa5 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - お忙しい中更新有り難うございます。伊野尾さんが学生の頃の卒業間近の慌ただしい時を思い出しますね。お話の途中で書くのを辞めてしまわれる方も多い中、書き続けようと思って下さるだけでも嬉しいです。遅くなっても待ってます。就活その他諸々頑張って下さい。 (2020年9月15日 9時) (レス) id: 7c8e159fd9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もろ | 作成日時:2020年8月29日 20時