◇ 50 ページ11
「松岡くん、本当にいいんですか？全部任せちゃって」
未だに深い眠りについている伊野ちゃんの裸体を隠すように毛布で包んで抱き上げながら松岡くんに言う。
ただでさえ軽かった体はそれ以上に軽くなっていて、あまりの軽さに驚いた。
「あぁ、大丈夫だ。もう時期警察が来るから俺が上手いこと言っといてやる。あとは任せとけ」
「分かりました...気をつけてください」
男気溢れる松岡くんの横には、少し落ち着きを取り戻した男が立っていた。
「本当に君たちには迷惑を掛けてすまない...怪我までさせてしまって... 」
男は申し訳なさそうに薮ちゃんに支えられながら右腕を押さえる光くんと頬の腫れた山田の方を見て言う。
「俺は全然大丈夫！！左利きだし！」
「そういう問題じゃないでしょ光くん...全く、ほんといい迷惑だよ。これからドラマの撮影だってあるのにさ。
でも...今回のことで心入れ替えてもう二度とこんなことしないなら許してあげる」
頬を腫らした顔で山田は男に微笑んだ。
男は謝罪と感謝の気持ちを込めて二人に深く頭を下げると、俺の胸元でぐっすりと眠る伊野ちゃんに目を向ける。
「そして何より...__________
"キミ"には一番嫌な思いをさせちゃったね..."伊野尾くん"。
謝罪してもしきれない」
男は伊野ちゃんを見ながら苦しそうに表情を歪めた。
そして、俺の方を見る。
「有岡くん」
「な、なに...？ 」
「僕に許される資格なんてないことは分かってる...けど、伊野尾くんが目が覚めたら謝っていたと伝えてほしい。
それから...キミの幸せを心から願っている。と... 」
いくら冷静さを取り戻したとしても、あれだけ伊野ちゃんを傷つけ、トラウマを植え付けた男にそう頼まれ、俺はどうすればいいか困ってしまった。
でも、男の真剣な眼差しに圧倒され、思わず頷いた。
すると男はほっとしたような表情に変わり、
「...僕も、君みたいに誰かに心から信じて、愛されたかったなぁ」
俺と伊野ちゃんを見て最後にそう呟いた。
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ぽんた(プロフ) - 大好きなお話です！完結いつまでも待ってます！ (2021年12月30日 16時) (
レス) id: 26174ade27 (このIDを非表示/違反報告)
もろ(プロフ) - 由利香さん» 待っていてくださり、本当にありがとうございます。最後まで頑張りますね！ (2021年3月8日 22時) (レス) id: 961faf5e6b (このIDを非表示/違反報告)
由利香(プロフ) - 応援しまくります（ ; ; ） (2021年2月22日 23時) (レス) id: efc7aaf80d (このIDを非表示/違反報告)
もろ(プロフ) - 雫さん» 本当に優しいお言葉ありがとうございます...！力になります(T_T)必ずこの作品は完結させたいと思っておりますのでこれからもよろしくお願い致します (2020年9月20日 1時) (レス) id: 0e9e1c0fa5 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - お忙しい中更新有り難うございます。伊野尾さんが学生の頃の卒業間近の慌ただしい時を思い出しますね。お話の途中で書くのを辞めてしまわれる方も多い中、書き続けようと思って下さるだけでも嬉しいです。遅くなっても待ってます。就活その他諸々頑張って下さい。 (2020年9月15日 9時) (レス) id: 7c8e159fd9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もろ
| 作成日時：2020年8月29日 20時
