ナナ ページ34
光と男の声がシンクロし、二人が声が聞こえた方へ振り向くと、コンビニ袋を持った薮がドアの前に立っていた。
「あ、やぶぅ」
「久しぶりだな伊野尾」
突然のことにも冷静な対応の慧とは対照的に、光は警戒するように慧の後ろに隠れる。
「な...なんでお前!いつからいたんだよっ 」
「んー、光が俺との‘’ハジメテ‘’を語り始めたとこぐらいかな 」
「もうっ、伊野ちゃんが変なこと聞くから!」
「俺は嬉しいよ、光がちゃんと覚えてくれてて」
「ッ...///」
薮が優しそうな笑みを浮かべて言うと、光は慧の後ろに隠れながらも頬をほんのり赤く染めて照れた。
「それはまぁいいじゃん!ほら色々買ってきたぞ」
薮は持っていたコンビニ袋をミニテーブルの上に置き、胡座をかいて座った。
「じゃあ私、飲み物持ってくるね」
光が立ち上がり部屋を出た。
光が部屋からいなくなると、机に肘をつき、目の前にいる慧に問う。
「ところでお前は高木とどこまでいってんの?」
異性に恋愛のことを相談するのは少し抵抗があるものの、会社の同僚として高木のことをよく知っている薮の質問に答える。
「んーと..え、えっちとデート以外は一応」
慧の言葉に薮は一瞬、目を見開いて驚いたがその後すぐニヤニヤと笑みを浮かべた。
「へぇ、てことはお前らディープもしてんのか。 段階早いな...それなのにデートはまだとか順番間違ってんだろ」
「べ、別に順番なんか関係ないじゃん、やぶぅのセクハラ!! だから今日光に初デートの服決めてもらいに来たのッ」
「はいはい。 あ、それなら初デートに必須の物があるぞ 」
頬を膨らませて怒る慧を適当にあしらった薮は自分が持ってきた鞄の中からファンシーな紙袋を取り出した。
「えっ!?欲しいっ 」
慧は目を輝かせながら薮の持っている袋に手を伸ばすが、薮はその袋を慧が届かないところまで遠ざけた。
「おっと、タダであげるわけはいかないなぁ!」
「なんでっ!」
「ちゃんと欲しいものがある時はお願いしなきゃな。『薮様、お願いします 』って」
「なんで私がやぶぅなんかにそんなこと... 」
「言わないんならこれはあげられないなぁ!これさえあれば高木はお前にメロメロなのにな〜 」
「うっ...や、やぶさま..お願い、します..! 」
薮の言葉にまんまと釣られた慧は瞳をうるませ、ペタンと座り込んで言った。
「いい子だな、伊野尾 」
慧の頭を撫でながらもしバレたら絶対高木にしばかれるだろうなと思った。
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もろ(プロフ) - ひなさん» ありがとうございます。パスワードは下にヒントがありますのでそれを見て解いてください。どうしてもわからない場合はメッセージでお答えします! (2017年3月28日 14時) (レス) id: 42c5664aeb (このIDを非表示/違反報告)
ひな - パスワードを教えてください これからも頑張ってください (2017年3月28日 12時) (レス) id: 39f411514f (このIDを非表示/違反報告)
wz6ez8eudp4neba(プロフ) - パスワード教えてください!すごくおもしろいです (2017年2月25日 10時) (レス) id: 165d1dc76f (このIDを非表示/違反報告)
もろ(プロフ) - 橙+紫さん» ぜひ出したいと考えています!出せるように更新頑張ります! (2017年2月14日 1時) (レス) id: 42c5664aeb (このIDを非表示/違反報告)
橙+紫(プロフ) - いつも楽しく見させて貰っています。少し質問なのですが圭人君や裕翔君、知念君は出てこないんでしょうか? (2017年2月13日 12時) (レス) id: 1b3b627a2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もろ | 作成日時:2017年1月23日 20時