ニ ページ29
暫くすると、息を切らしながら大ちゃんが門まで走ってきた。
「はぁ..はぁっ、ごめん! 遅くなって... 」
走りながらぷるんっぷるんと揺れる胸に慧はムッとしたが、それ以上に機嫌を損ねている人物が...
「遅い 」
「ごめん、山田っ! 」
両手を合わせて謝っている大ちゃんに対し、山田本人は不機嫌そうに制服のポケットから新品そうな赤いハンカチを取り出して彼女に渡した。
「え...? 」
「...せっかくメイクしたのに、汗かいたら台無しでしょ 」
「あ、ありがとう/// 」
「それと...走ってる時、胸揺れすぎだから。 なんで伊野ちゃんたちみたいにブレザー着てこないの? 」
「あっ、ごめ... 」
今度は大ちゃんが謝る前に、自分のブレザーを脱いで彼女に着せる。
小柄な大ちゃんに対して山田のブレザーはぶかぶかだが、それも構わず前のボタンを一番上までしっかり留めた。
「他の人にそんな格好見せないでよ。女子でも嫉妬するから...// 」
どんどん小さくなっていく声。
その顔はほんのりと赤くなっていた。
「あ、ぁ、あり..が、と...//// 」
それに対して彼女も顔を真っ赤に染め俯く。
「ほら、じゃあ行くよっ//// 」
「うっ、うん! 」
照れ隠しのつもりか、少し強引に大ちゃんの手を引っ張って山田が歩き出す。
それに必死について行きながら大ちゃんは慧たちの方を振り向いて、
「二人共、待たせちゃったのにごめんね? また月曜日っ! 」
左手は山田としっかり繋ぎ、ぶかぶかの袖から右手を出して幸せそうな顔で手を振って行ってしまった。
「今日大ちゃんが自転車じゃなかったのってデートだったからかぁ。 いやぁ...それにしてもやっぱ山田って紳士的だね 。薮なら絶対あんなことしないわ 」
二人の背中を見送ったあと、端的な感想を述べた光がふと横を見ると、目をキラキラと輝かせた慧がぼーっと突っ立っていた。
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もろ(プロフ) - ひなさん» ありがとうございます。パスワードは下にヒントがありますのでそれを見て解いてください。どうしてもわからない場合はメッセージでお答えします! (2017年3月28日 14時) (レス) id: 42c5664aeb (このIDを非表示/違反報告)
ひな - パスワードを教えてください これからも頑張ってください (2017年3月28日 12時) (レス) id: 39f411514f (このIDを非表示/違反報告)
wz6ez8eudp4neba(プロフ) - パスワード教えてください!すごくおもしろいです (2017年2月25日 10時) (レス) id: 165d1dc76f (このIDを非表示/違反報告)
もろ(プロフ) - 橙+紫さん» ぜひ出したいと考えています!出せるように更新頑張ります! (2017年2月14日 1時) (レス) id: 42c5664aeb (このIDを非表示/違反報告)
橙+紫(プロフ) - いつも楽しく見させて貰っています。少し質問なのですが圭人君や裕翔君、知念君は出てこないんでしょうか? (2017年2月13日 12時) (レス) id: 1b3b627a2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もろ | 作成日時:2017年1月23日 20時