【短編集】Imitation (ページ44)

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# 言えない Hokuto Matsumura ページ44

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今日は久々に大学時代のサークル仲間と飲み会。

同期10人くらいが集まったって聞いてたけど......

髙「今日北斗遅れて来るから」

『 ......は？』

髙「何その反応！笑」

髙「北斗残業入っちゃったんだってさ〜」

『いや、遅れてくるのに対してのは？じゃなくて』

『これは来ることに対してのは？だから』

髙「そりゃ来るだろ、サークル一緒だったんだから！」

同期で飲み会っつってんじゃん！って

大きい口を開けて笑う髙地。

いや、同期でって聞いてたけどさ......

髙「てか、え？お前ら別れたんだっけ？」

『とうの昔にね』

髙「へー、なんで？」

『なんでって...... 』

北斗がいないのをいいことに色々聞いてくる髙地。

髙地はこういうことを素でしてくるところがある。

まあ私が答えるって分かってるからなんだろうけど。

でも、髙地の正面に座ってた同期の女の子は

「(それ聞くの......？)」みたいな苦笑いをしてた。

『喧嘩した』

『些細なことだったんだけど』

『ほら、2人とも頑固なところあるからさ』

『気づいたらSNS全部返信来なくなって』

『そのまま音信不通、みたいな』

『圧倒的に嫌われてる』

髙「なるほどね〜？」

ふーん、と言って話題を切り替えた髙地。

慰めるでもなく深堀りするでもなく

ただ単純に、経緯を知りたかっただけらしい。

そんな話をしてる間にお酒や食事が届いて

数分後には飲み会が始まった。

暫くは隣の髙地とか向かいの席に座る同期たちと

ワイワイ近況トークなんかをして盛り上がった。

会社で昇進が決まった子や婚約が決まった子

中には来月海外移住をする子までいて

みんな人生の転換期を迎えてるんだなぁと

しみじみ思いながら私は目の前のジョッキを呷っていた。

そんなタイミングでガラガラッとお店の入口が開いた。

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