【短編集】Imitation (ページ37)

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数日後、またお店に来てくれた彼。

ニコニコ微笑みながら小さく手を振っていた。

「あの、」

と、唇が動いた気がした。

普段使っているメモを手にしておらず、

キョロキョロしてどこか落ち着きがない彼。

ひとつ深呼吸をして目が合ったと思えば

両拳を握って凍えるポーズ

左を丸めて右手でかき混ぜるポーズ

そのまま右手でお願いのポーズをしてくれた。

これは、「アイスコーヒーください」という手話。

“ 調べてきたんですけど、あってますか？”

不安そうな彼にグッと親指を立ててみせる。

嬉しそうに小さくガッツポーズをする彼を見て

私までなんだか嬉しくなった。

『ありがとうございます！』

“ また新しいしゅわ覚えてきます！”

急いで書いたからかひらがな混じりな文字。

それを見せて、アイスコーヒーを手に

いつもの席に行ってしまった彼。

オーダーは筆談でも十分伝わるし、

言ってしまえば筆談の方が楽なはず。

私のために、なんて都合の良すぎる解釈かな？

そうじゃないってわかってるけど、

でも、やっぱり嬉しくて嬉しくて頬が緩む。

『 (次は、どんな手話覚えてきてくれるのかな) 』

彼が来るのが、前よりもっと楽しみになった。

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(連ドラ決定おめでとう！)