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〈 そして お兄さん 〉
「 はい！」
〈 お兄さんも、大正時代を生きた男性 〉
「 ......彼女と同じ時代ってことですか？」
〈 まあ そうね〜 〉
〈 もしかしたら 前世でも出会ってたかもよ？笑 〉
あはは〜ロマンチックね！と嬉しそうな占い師さん。
考えることが 私たち二人より断然乙女だわ。
〈 そして、あなたも若くして亡くなってる 〉
「 それは、戦死ですか？」
〈 うん そうねぇ...... 〉
あぁ、と さっきの私同様 北斗も肩を落としてる。
やっぱり前世とはいえ 最期を聞くのは悲しいよね。
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その後も 二人で占いのお話を聞いてから 館を後にした。
『 前世も会ってたのかね、私たち！』
「 いや〜 あれはリップサービスみたいなもんでしょ 」
『 もー 出た、現実主義的なところ 』
帰り道、 二人で占い内容を反芻する。
占いが終わったあともやっぱり信じてない様子の北斗。
もっと夢持ってこうよ！ だってありえない！と
二人で 可愛い言い争いをしてるうちに、
行きに歩いた道とは違う道に出てしまった。
『「 あれ、」』
「 まって 懐かしくない！？」
『 だよね！懐かしい〜！』
違う道を歩いたら、偶然 懐かしい場所を見つけた。
住宅街に佇む 立派な神社。
前にも 北斗と一緒に来たことがある。
『 二人で来たのって、いつぶり？』
「 なんかさ、夏 来なかった？」
「 二人で浴衣？着物？着てさ、」
『 そうそうそう！』
たしか、あれは......と記憶を辿るためにフォルダを辿る。
付き合って以来、よく北斗の写真を撮るようになった私。
【ほくと】という名前のフォルダがあるくらいには
デートなどのタイミングで写真を撮ってる。
でも 辿れど辿れどそんな写真は見当たらない。
「 ある？」
『 ない...... 』
「 やっぱり 」
「 俺も 流石に着物とか着てたら写真撮ると思うんだけど 」
「 ないんだよね、一枚も 」
二人の間に沈黙が流れる。
二人でここに来た記憶は確かにある。
でも その写真が1枚も残ってない。
そして、さっきの占いの話がよぎる。
「 これって、そういうこと......？」
『 そういうこと、じゃない......？』
その日以来、北斗は毎朝 欠かさずに
「今日の占い」を観るようになった。
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作者名：アンスリウム | 作成日時：2022年6月19日 17時
