【短編集】Imitation (ページ30)

今日:43 hit、昨日:47 hit、合計:80,120 hit

# 時空を超え Hokuto Matsumura ページ30

.
.
(ほんの一部ですが暗いお話のシーンあります)

『前世占い...... 』

デート中、道端でそんなポスターを見つけた。

普段はこういうのスルーするタイプなのに

今回はなぜか気になってしまった。

初めて来た場所だから、とか？

理由はわかんない。でも、気になる。

「珍しいね、こういうの興味あるんだ」

『なんか気にならない？自分の前世って』

「でも占いでしょ〜？」

『あ、占いとか信じないタイプ？』

「まあわりかし」

......そんな気はしてたけど。

普段「今日の占い」とか全然観てないもんね。

「行きたい？」

『うん』

「診断無料って書いてあるし、行っちゃう？」

『 ......行っちゃお』

ポスターに書いてある地図通りに

歴史を感じるような建物に囲まれた路地を進む。

本当に、和風の占いの館！みたいな場所に着いた。

「雰囲気はもう、ばっちりね」

『本当にすごい占い師さんなんじゃない？』

ガラガラと扉を開けて中に入る。

スペースは広くないけど、しっかりしてる。

外観の割に中は意外と新しいっぽい。

〈こんにちは〉

「おぉっ...... 」

『こんにちは〜...... 』

右手の壁に受付口のような窓が取り付けられてて

そこから占い師さんと思わしき女性が顔を覗かせている。

〈前世占い？〉

『はい』

〈男の子の方は？〉

「あ、じゃあ僕も一応...... 」

なんだかんだ、2人で並んで脚の長い椅子に座って

ポスターに書いてあった前世占いを受けることに。

生年月日とカードを使って占うらしい。

こんなしっかりした占いは初めてだから緊張する......

〈まず、お姉さんの方〉

『はいっ！』

〈前世は大正時代に亡くなった若い女性！〉

『前世も女だったんですね... 』

〈すごく可愛らしい女性なんだけど、〉

〈精神疾患による自死で亡くなってるわ... 〉

前世占いってそこまでわかるんだ。

そんな占いの凄さに感動しつつ、

前世の自分が悲しい最期を迎えていたことを知り

自分のことじゃないのに少し悲しくなった。

〈婚約者の死、かしから〉

『婚約者の死？』

〈ここから先は占いじゃ分からないけど〉

〈婚約者の死が自死に関係しているのは確かね〉

なるほどな。婚約者を亡くした悲しみでってことか。

.