【短編集】Dynamite (ページ50)

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# その眼差しで Hikaru Iwamoto ページ50

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ひーくんと二人、並んで歩いてると横断歩道が赤になった。

立ち止まったタイミング！今がチャンス！

何がチャンスかはのちのち分かる！！

それではひーくんに話しかけてみます！

『ねえねえひーくん！』

「ん～？」

ん～？と首を傾げながら腰を落としてくれるひーくん。

それもそのはず！

ひーくんの身長は182cm、私の身長は155cm

私とひーくんは30cm近く身長差がある。

普通に話してたら私がかなり見上げることになるけど

ひーくんはそうさせないために屈んでくれる。

それはそれで大変そうだけど

ひーくんのお顔が近くて嬉しいのも事実......！

『ひーくん、辛くないの？』

「いや全然」

「脚ちょっと効いててイイ感じ」

......忘れてた(笑)

こういうこともトレーニングの一環なんだった。

「 Aだって俺と話す時首大変そうだよ？」

「それに比べたらこんなのへっちゃらでしょ」

屈んだままニコッと微笑みかけてくれるひーくん。

真顔だと本当にかっこいい100%のひーくんだけど

笑う時くしゃっとするから可愛い100%になる。

そんなひーくんにつられて私も笑顔になってしまう。

その瞬間、ひーくんは俯いて、顔を手で覆いながら

182cmの大きいひーくんに戻ってしまった。

なんでよ！！まだ赤信号だよ！？

「そういう顔をさ...... 」

「お外でしないでね...... 」

『ん？なんて？』

「可愛すぎてダメ、ニヤニヤ止まらなくなる...... 」

『なんでそんな小声で喋るの！』

「独り言、気にしないで」

『えっ気になる！！』

「ほら青になったよ、行こ」

『うっ......ひーくん意地悪......！』

歩き出すタイミングでひーくんの大きい手が

私の手に重なって恋人繋ぎをされた。

ふとひーくんの方を見上げたら、

夕日に照らされたお顔が少しだけ紅かった。

夕日のせい、ではない気がする......

段々と頬が緩んでいくのが自分でもわかった。

さっきのひーくんのちょっとした意地悪さえも

こんなことでチャラにしちゃう。

ひーくんのそういうところが、大好きだから。

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