【短編集】Dynamite (ページ30)

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# たまの我儘は Ryota Miyadate ページ30

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朝起きて会社に行く準備をしていた時

直感で「ヤバいな」と感じた。

でも会社のみんなに心配かけたくないし！

きっと体温もそこまで高くないでしょう！

そう思って出社準備を続けてたんだけど、

「なんか、顔色悪くない？」

『いやそんなことはないかと...... 』

「 ......俺の事騙せると思ってる？」

彼氏兼上司の涼太さんにはバレバレだったらしい。

涼太さんの大きい手がおでこに重ねられる。

手を「冷たいなぁ」と感じたあたり......

「うん、高いね」

『うぅ...... 』

「上司命令、今日は休んで」

部長には俺から伝えとくから、と言って

テキパキと解熱剤、経口補水液、冷えピタシート

私の好きなゼリー(常備してある)を用意してくれて

おまけにリビングの椅子に座っていた私を

寝室までお姫様抱っこで連れていってくれた。

「宮舘さんは仕事ができる」と言われる理由が

この3分間で痛いくらいわかった気がする。

「今日は仕事も少ない日だし」

「午後は休み取るからさ」

「それまで、我慢できそう？」

涼太さんの手が私の頭をとんとんと撫でる。

本当はこのままずっとそばに居てほしいけど

『寝て起きたら午後だろうし大丈夫ですよ！』と

頑張って涼太さんに微笑みかける。

でもそんな強がりさえもお見通しらしくて

涼太さんは少し悲しそうな顔をしてた。

「できるだけ早く帰ってくるよ」

ちゅっとおでこにキスを落として

会社に向かっていった涼太さん。

『早く帰ってこい〜...... 』

用意してくれたゼリーを食べて、薬を飲んで

時間を忘れるために寝ることにした。

起きたら涼太さん、居るといいな。

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