【短編集】Dynamite (ページ26)

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「な、目黒」と突然離れた席に座る目黒くんに

話を振り始めた深澤先輩。

『ちょっと、なんでまた...... 』

深「目黒、視線が怖い」

「すいません...... 」

まあ、いいけどね〜と枝豆を口に運ぶ深澤先輩。

2つくらい食べてから

私と目黒くんを交互に見て

また枝豆が乗った器に視線を落とす。

その間も周りは盛り上がってるはずなのに

私と目黒くんだけ世界から取り残されたみたいに

じっと、ただ気まずい空間を耐え忍んでた。

なんで話振っといて放置なんですか、先輩。

深「あれ、2人で外の空気吸ってきたら？」

何十秒か続いた二人の間の沈黙を破って

深澤先輩が二人きりになることを提案してきた。

でも、私にはそんなこと出来る勇気なんてなかった。

私のわがままで振った元カレと2人きりなんて

どんな顔をしていればいいのか分からない。

もう！先輩のおバカ！

突拍子もなく二人っきりにしようとして！

やり口が恋愛初心者の中学生ですよ！

本当だったらそんなこと言って

先輩に渾身の肩パンでも食らわせたかった。

でも、拳を握りしめた辺りで

目黒くんが「じゃ、外で待ってる」と

座敷の外へ出ていってしまったからそれは叶わず。

てか、なんで目黒くんは意外と乗り気なの.....

深「ほら行っておいで、目黒待ってるよ」

『でも、』

深「目黒がすぐ外行ったってことはさ」

深「向こうもなんか伝えたいことあんじゃない？」

私だって目黒くんに言いたいことはある。

「ごめんね」も「ありがとう」も言えてないから

今からでも伝えたい。

それだったら......

『頑張ってきます』

深「おうおう、いい報告待ってるわ」

さっき、渾身の肩パン食らわせたいとか

そんなこと思ってごめんなさい。

心の中で深澤先輩に懺悔をしながら

まだ寒さが残る店の外に向かっていった。

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