【短編集】Dynamite (ページ1)

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# 昔話 Shota Watanabe ページ1

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セミの音、風鈴の音。

私の隣にはスイカ右手にはラムネ。

少しオーバーサイズのTシャツにショートパンツの私。

夏、満喫しすぎでは......？

「よっ」

『っ、ビックリした..... 』

「俺の実家なんだし、そりゃいるだろ」

あ。

普通に縁側座ってスイカを食べてたけど

忘れてた、ここしょうたの家じゃん。

しょうたは父方の従兄弟。

今は叔父さん夫婦が住んでいる父の実家に

我々家族が来る同じタイミングで

しょうたも実家に帰ってきていたらしい。

(まあ父の実家もしょうたの家も私の家も都内だけど)

「隣、いい？」

『いいよ....ってもう座ってるし』

自分の家なんだから許可取らなくていいのにねぇ。

私と同じように半袖短パン姿のしょうた。

でも私と明らかに違うのは

ラムネではなくビールを片手に来たこと。

こういうところに

「ああ、年上なんだな」と感じる。

「今年、大学何年？」

『二年』

「じゃあ二十歳になんのか」

『そうだね』

「へぇ」

俺もう30だよ、ヤベーよな。と笑うしょーた。

いや、そのビジュアルは30に見えないけど。

......とか本人に言ったら調子乗るからやめよ。

「てかさ、覚えてる？」

「ちっちゃい頃、俺に言った言葉」

『いくつくらいの話？』

「 5歳.....とかそんくらいじゃね」

『覚えてるワケないじゃん笑』

私が5歳と言うと、しょうたが15歳の頃か。

その頃は共働きの父と母に代わって

しょうたが保育園まで迎えに来てくれたり

母が帰ってくるまでこの家で面倒を見てくれてた。

まあ、当時の私が言ったことなんて

女の子が遊びの中で言ったことでしょ。

「俺だけかよ、覚えてたの」

「うわ、なんか悲しいわ..... 」

『なに、5歳のAちゃんになんて言われたの』

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