ハケンのやまだくん (ページ5)

今日:5 hit、昨日:14 hit、合計:29,828 hit

・ページ5

ar side

新しい人が入社の時は、俺が対応する。
管理部は雑用って言うやつもいるが、俺はこの仕事が好きだ。
良いも悪いも社員の事、人間関係など大体把握していたりするが、俺の生来の人当たりの良さもあって敵はいない。

いのちゃんじゃないが、男だし…さっさと済ませようとミーティングルームに向かった。

「管理部の有岡です。よろしくお願いします。」

「山田です。よろしくお願いします。」

ふんわりと紡ぎ出され声に驚いて、目を見張る。

少し長い前髪と眼鏡で隠されているが、人形みたいな綺麗な二重に長い睫毛。

聞いてないぞ…これは想定外だ。

「えっと……こちらが、社員証とIDカードです。社内では首から掛けてくださいね。」

事務的な連絡を淡々とこなしているつもりだが、実は心臓がドキドキしてあせる。

「あの…」

「ふぇい⁈」

急に山田さんが話しかけてきたので、変な声が出たぞ。

「何か変ですか？」

あまりにも俺がマジマジと見てしまったようで、恥ずかしそうにしている。

「いや、何も！変どころかむしろ良いですっ」

あーっ！変な事を言ってしまった……

「良かった。スーツが久しぶりなんで」

はにかむと眉毛がハの字になる。意外と表情豊かな人だな…

「あ、かわいいですよ！」

つい素直な感想を言ってしまったが、成人男性にかわいいはダメだった。

「俺もよく七五三って言われます！」

フォローになってない自虐ネタなのに、山田さんが笑ってくれた。
思ったとおり、笑顔が素敵だった。

ちょっと打ち解けた雰囲気になったのに、残念だが山田さんとは部署が違う。

「あっ、山田さんは…マネジメント営業部ですよね。あそこ忙しいからなーっ。少し社内を案内しますので、その後営業部におつれします。」

「ありがとうございます。」

立ち上がり俺の後ろをついてくる。

身長が俺とあまり変わらないのに何故かホッとした。