ハケンのやまだくん (ページ11)

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yt side

「裕翔！待ってたよっ」

営業部に着く早々に、河合くんが寄ってきてバシバシッ背中を叩かれた。

「痛いです…」

「新しい人入ったんで、事務的な事は全部振っちゃって。ヨロシク」

河合くんがご機嫌だし、フロアのみんなも心なしかニコニコしてる。

「おーい、やまちゃん！」

やまちゃん…⁈

時間が止まったかと思った。

コピー機の向こうから、こちらに振り向いた顔が驚くほど綺麗だったから…。

「まだ来たばかりだけど、仕事の覚えはいいし……」
河合くんが何か言ってるけど全然耳に入らない。

ワイシャツにネクタイだから、男性なのはわかる。
だけど…
トコトコとこちらに歩いてくる姿の後ろに、花が見えるのは…気のせいではない…。

「山田涼介です、よろしくお願いします。」

山田だから、やまちゃんか。
あっ、もしかして知念が言ってたりょうすけって…

目の前に来た彼に既視感を覚えた。
眼鏡の奥の、大きな瞳が真っ直ぐ俺を見つめてくる。

ん？山田…やまだ…りょうすけ……
山田………やま………………………

「ダァァァーッ‼」

俺の叫び声に山田くんはもちろん、河合くんを含め部屋にいた全員がびっくりして注目している。

「えっ？山田…さん…くん？」

人違いじゃない、こんな顔面が二つも三つもあったらたまらない。

「はい、山田です。覚えててくれて嬉しいです、裕翔くん。」

ふわりと無邪気に微笑む山田くん。
裕翔くん……って
反則なんですけど！

「何…二人知り合い?」

河合くんが突っ込んできたので、俺は山田くんの肩を掴んで居室を飛び出したのだった。