派遣彼氏(ヤス)

イジワル ページ34

本当にヤス君と章ちゃんって別人なんだ…



「うん…その…心配かけてごめんね」



私は、章ちゃんに背中を向けて、ヤス君に謝った


「ええよ！でも、今度は1人で帰ったらあかんで♪」


「うん…ごめんね」


「な〜、明日なんか予定とかある〜？？」



そんな風にヤス君と電話で話ていると、急に後ろからギュっと章ちゃんが抱きしめてきた



そして耳元で呟く



「いつまで、話とんの…」



章ちゃんの匂いで包まれて、心臓が速くなる



「な〜、聞こえてる？明日予定ある？」


「えっと…明日は…んっ」



しゃべっている途中に、指を絡ませ手のひらを親指で優しく弄んできた



てのひらを軽く撫でられてるだけなのに、感じてしまう



章ちゃんが意地悪な顔で、私を見つめる



「A？もしもし〜？聞こえとる〜？」


「う….ん…聞こえ…てるよ…」


「ホンマに？こっちが電波悪いんかな？？途切れて聞こえるんやケド？ほんで〜、明日暇？」



逆の方の手で太ももに手を置かれる



「はっ…ちょっ…章ちゃん待って…」


「ん？待ってればええの？？」



違う！ヤス君じゃなくて！！



私が、必死で章ちゃんに目で訴えると唇を塞いできた



「な〜、明日サークルないし〜、一緒にどっか行かへん？」



電話口からは、ヤス君の声が漏れる



そして、私の唇から離れ耳元で囁く



「行ったら、あかんで…俺…何も…手付かなくなるから…行かんといて…」



どうしよう…どうしよう…



「A？」


「A…」



両耳から、同じ声で呼ばれる



心臓が壊れそうなくらいに爆発している



でも、目の前の章ちゃんが切なそうに私を見てくるから…



「ごめん…ヤス君…明日は予定あったみたいで…」


「そうなん!?ホンマにあかんの？」


「ごめんね…」


「ほんなら、また誘うわ♪今度は、断らんといてな！ほな、またね♪」



そう言って、電話が切れた



章ちゃんは、嬉しそうに意地悪な顔をして口を開いた



「うそつき…」





本当、この人…ずるい…♡

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