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22話ー思い出ー ページ23

22話
sideA

私は数人の使用人と共に本家を離れ静かに暮らしていた。
天祥院という名前を隠して。

「お嬢様!車道にはお気をつけくださいませ!」
A「はーい」

私は両親、英智と一緒に居られないことを深く考えることも無く充実した暮らしをしていた。

そんなある日、お客さんが来た。
隣に住んでいる人らしい。


「私、隣に住んでいる羽風と申します」
「まぁ、この辺りの地主様ですね。私共はーーー」


お客さんと使用人が話を始めた。
幼いながら自分には関係の無いことだと思い、その場を離れ庭にいた。


「きみがAちゃん?」


名前を呼ばれてびっくりした。
ちゃん付け自体、初体験だった。

太陽に照らされキラキラ光る髪がとても綺麗だと思った。

「だれ?」
「おれはかおるって言うんだ。はかぜかおる!隣にすんでる!」

はかぜかおるはニコッと笑って私の手をとった。

「いっしょにあそばない?」

屈託なく笑う薫に私は二つ返事で一緒に遊ぶことにした。
とても楽しかった。
泥に塗れて帰った時は使用人達に泣かれたけど、それでも楽しかった。

だけど、歳を重ねるにつれて、自分の持っている名前の重みを感じるようになった。
小学校高学年になった頃、私はクラスだけではなく学年、さらには学校そのものから孤立していた。

天祥院という名を恐れ、私に近寄る人などいなかったから。
先生達でさえ、当たり障りなく接してくるだけで会話もほぼしない。


(…楽しくない…)


薫とは別の学校だったため、気兼ねなく一緒にいることができたし、楽しくできた。


「…あれ、天祥院さんじゃない?」


薫と一緒に公園に来ていた時、そんな声が聞こえた。
同じ小学校の子達だった。
その子たちは私を見て小声で内緒話をし、馬鹿にしたような顔だった。
だけど気にしない。私には薫がいるから。

薫「Aちゃんどうしたの?」
A「ううん、なんでもない」

あの子たちのことは放っておこう。
別になにかしてくる訳じゃないし。

A「ちょっとお手洗に行ってくるね」
薫「うん。気をつけてね」


私がちょっと離れたすきにその子たちは薫に教えた。
私が«天祥院»だということを。

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かお(プロフ) - めっちゃ面白かったです!薫くん〜がんばれ!笑これからも応援しています。 (2021年8月30日 23時) (レス) id: 16a5bce890 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えんぱいあ | 作成日時:2021年7月31日 14時

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