君に失恋したから髪を染めた【羽風薫】 (ページ20)

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19話ページ20

19話
side薫

AちゃんがEdenのメンバーに囲まれてた。

Aちゃんは困ったような表情をしていた。
メンバーの1人に随分足止めをくらってくるようだった。
だけど俺はそれを見てないふりをしてそのまま帰ろうとした。
本当だったら話も聞きたいし、一緒に帰りたいけど、…気まずいままだしね。

それでもやっぱり気になってそっちを見た。
薄緑の髪で華やかな顔立ちの少年がAちゃんの肩に手を回した。

ｰｰｰｰｰｰｰ見てられなかった。

喫茶店に入り、AちゃんとEden4人の席に近づく。

薫「Aちゃん」
A「…薫…？！」

驚いたように俺を見るAちゃん。
まぁ、そうだよね、長いこと話してなかったし。

「Aちゃん知り合い？」

警戒したような目で見てくる。
だから俺はあえて軽く言うことにした。

薫「ほら、俺迎えに行くって言ったでしょー？遅くなったらあんずちゃんが心配するからって」
A「へ？あ、うん！」

なんの話？みたいな顔したけどすぐ空気を読んでくれた。

薫「そういうわけなんでAちゃん連れていきますねー。ほら、行こう？」
A「ま、待って…！」

Aちゃんの手を引いて喫茶店から出る。
しばらく無言が続いた。

A「…ありがとう…」
薫「どういたしまして」

やっぱり困ってたんだ。

A「…よくわかったね。私が困ってたって」
薫「わかるよ」

だって俺は君のことがｰｰｰｰｰｰｰ

薫「…幼なじみだから」
A「…うん。そうだよね」

ずっと繋がれたままの手。
いつでも離せるのにそのままの手。

薫「送っていくよ。家でいい？」
A「…うん」

その手は振り払われることなく、家に着くまでずっと、繋がれたままだった。