第8話 ページ9
『ふっふっふーん♪ふんふんふーん♪』←東都水族館のテーマ曲
筆をペタペタと軽快に動かしながら、Aはイルカに色を塗っている。既に桃色、緑色、水色に彩られたイルカ達が絵の具を乾かすため丁寧に並べられている。手先が器用と自負していたのもうなずけるくらい。商品と見間違うほど綺麗に塗られていた。
『っし、あとひとつ!!……あ、先輩!』
「あー、Aちゃんこんな所にいた!早く早く!」
Aの目の前に現れた女性は小走りだった足を止め、こいこいと手を振った。
イルカを塗る際に手元しか見ていなかったので気づかなかったが、他のスタッフもバタバタと目の前を走き過ぎ去っていく。空はもう日が沈む直前だった。あと数分もしたら夜空になるだろう。
『何かあるんですか?』
「ライトアップよ。施設中の電灯が一斉につくからスタッフ全員集まってカウントするの!急いで!もうすぐ始まるって!」
『ええええなにそれ見たい見たいです!!片付けてすぐ行きます!!』
ライトアップの瞬間!?超見たい……!!イルカはまだ乾くまで時間がいるし、このままで大丈夫でしょ!
『……ごめんなさい!遅くなっちゃいました』
「いいのいいの、早く行こ!」
パタパタと二人分の足音を響かせ、他のスタッフが集まっている観覧車の下に向かう。
「……あ、新人!イルカ塗ってくれてありがとなー!!本当に助かった」
『いえいえ、あれぐらいどうってことないですよ!でもあと一つだけ、まだ塗れてないんです……』
「一個だけなら大丈夫だろ。多めに買っといたって言ってたし……おっ、そろそろ始まるぞ!!」
トランシーバーを持った主任が「カウント始めるよ!5秒前から!」と言った。
待ってましたと言わんばかりにスタッフ全員が声を張り上げてカウントを始めた。Aも慌ててそれに乗じて口を開く。
「「5、4、3、2、1……ゼロ────!!」」
ババッと音を立て、順々に照明が着いてゆく。最後に観覧車がライトアップされれば施設内は一気に明るく華やかになった。
『……わあ……!!』
Aの瞳も色彩豊かなライトに照らされて、キラキラと色を変えてゆく。
歓声と拍手、時折指笛などが響き渡り、お祭り騒ぎになる。
「明日のオープン、ほんとに楽しみね!」
『はい!』
……ダーツコーナーに並べられたイルカ達の中に、真っ白なイルカが一つだけ置かれ、色とりどりの照明に照らされていた。
(ほれ、ボサっとしてない!各自担当のエリアに行って照明の異常がないか確認してきてー!)
(はーい!!)
閲覧ありがとうございました。
残念ながらバイトの夢主に労災保険はおりません。笑うところです
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緑那(プロフ) - さくらさん» ヒュ〜〜〜〜〜〜〜〜全裸待機 (2018年11月2日 7時) (レス) id: 3c1948d3a1 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 緑那さん» ウレジイ〜!!!!!!!!りょくぴあいしてる新しいのもちのロンカクシ今までの今度まとめて載せとくわウォイェイ (2018年11月1日 13時) (レス) id: f18f805e19 (このIDを非表示/違反報告)
緑那(プロフ) - 東都水族館の制服着た神崎さん想像するだけでもう頬が!!!頬が!!!!今度かいて!!!!! (2018年10月31日 6時) (レス) id: 3c1948d3a1 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - まぁさん» わ〜〜ありがとうございます〜!!!!バリバリと書いて参ります!! (2018年8月26日 22時) (レス) id: f18f805e19 (このIDを非表示/違反報告)
まぁ(プロフ) - なるほどです(*´ω`*)ありがとうございました。楽しみにして居るのでこれからも頑張って下さい 。 (2018年8月26日 22時) (レス) id: bc142c419e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら | 作成日時:2018年4月28日 11時