【名探偵コナン】自宅にカチコミされるとか聞いてない【ギャグ/赤井秀一】

#480 ページ4

「フフファンですサイン下さい！！」
「おやおや」


　秒速で色紙を突き出して最敬礼する私に、当の優作さんは目をパチクリ。


「んなはしゃぐ事か？」
「お黙りガキンチョこれがはしゃがずにいられるかっての！！秀、じゃない昴さん見て！！あの、"あの"優作先生が目の前にッ！！！」
「ああ……」


　アレッ意外にも塩反応！？秀さんだって「闇の男爵(ナイトバロン)シリーズ」読みふけってた筈なのに！？あ、目の前で私が狂喜乱舞してるのが原因か……？？


「はいどうぞ。読んでくれて嬉しいよ」
「アリガトウゴザイマス……ッッッ本全部大好きです！！！アついでに今までの家賃と諸経費として遠慮なくお受け取り下さい」
「作家人生で財布と通帳を贈り物にしてきたファンは初めてかなあ……」


　アレェ私のありったけの思いが微妙なご反応！？全力投球の誠心誠意なのに何故ッ！？


「ハッそうだ、秀さんっ！秀さんの分も頂いてきましたよ！！」


　二枚の色紙を持ってウキウキと秀さんに駆け寄る。受け取ってくれたまでは良かったけど、何故かため息が返ってきた。


「……呼び方戻ってるぞ」
「ア」
『大丈夫よ〜Aちゃん、ここにいるみーんな知ってるもの♪』
「しかし本番で間違えられたら困りますから」
「本番！？」


　思わず両腕で色紙を抱き寄せる。そーだった今サイン会でキャッキャしてるどころじゃなかったんだ！！思い出したくなかったこんな現実！！


『とりあえず時間ももったいないし、優作を昴くんに変装させながら話しましょっ♡』
「は、はいっ！……ハイッ？」
　

　という訳で作戦ミリしら状態の私を取り囲み、打ち合わせ的な何かが始まった。会議場所は洗面所です。サイン頂いた5分後に変装(メイク)させて頂くってマジで何？もう玄関入ってから何一つ理解が追いついてない脳みそ終わってやがる


「流石に変装は門外漢だからね。よろしく頼むよA君」
「えーとよろしくお願いシマス……ってホントにいいんですか？？」
『遠慮なくやっちゃってくれていいわよっ♡』
「(奥さん本人からOK出ちゃった……)」

　
　ご覧の通り当の夫妻が乗り気な上、作戦の考案者であろうコナンくん(と秀さん)までもが後方腕組み監視体制なので逃げ道はない。もうやだこの家主一家……


『第一、昴君を一番よく知ってるのはAちゃんでしょ？私がやるより怪しまれないわよ♪』


　それでも有希子さんのさり気ない一言のお陰で、ダメになりかけたおつむがちょっとマシになったのはここだけの話。


「──はいっ、頑張ります！」

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2023/06/11

気づいたら時間飛んでやがる

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