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「連絡待ちです」
安室さんがポツリと呟く。テーブルに置いた携帯電話に手を添えて。
「流石の貴方もお仲間の生死がかかれば、素直になってくれると思いまして」
「(お仲間って……当然FBIの人、だよね)」
「僕の要求は二つ。大人しく自ら正体を明かし、Aさんの身柄を引き渡してもらう事」
二本指を立てて、私達を交互に見つめる。
「勿論、危害を加えるつもりは毛頭ありませんよ?まあ本人の意思を聞いてからでも構いませんが……どちらにせよお仲間の安全は貴方の返答次第だ」
余裕たっぷりに言ってるけど、今更私がNOと言った所で「はいそうですか」なんて納得する人だったら、家を見張りで取り囲んだり人質を取ったりなんかしない。選択の余地は無いんだろうな。
「でも、できれば連絡が来る前にそのマスクをとってくれませんかねえ……沖矢昴さん?──いや、」
勝ちを確信した表情で、息を一際大きく吸い込む。
「FBI捜査官……赤井秀一!!」
安室さんは、沖矢さんを真っ直ぐ見つめてそう言い放った。
──
「……君がそれを望むのなら、仕方ない」
数秒の沈黙を破り、ずっと腕を組んでいた沖矢さんがゆっくりと手を首元に運んでいく。
ペラリとマスクが外れ、半分隠れていた顔が見えるようになった。──もちろん顔は沖矢さんのまま。
「少々風邪気味なので、マスクをしてもいいですか?君にうつすといけない」
「(ま、マスク型変声機取ったのに声がそのまま……)」
「そのマスクじゃない……その
咳込みながら応じた沖矢さんの対応に驚く私と同時に、安室さんはカッと目を見開き声を荒らげていた。私はというと、驚きはしたものの「コナンくんがなんか上手いことやってるんだろな」と冷静さを保っていて……と思った途端にテレビ画面が視界に入る。
「……変装?赤井秀一?さっきから一体何の話です?」
「ッ、何をふざけた事を──!!」
掴みかかりそうな勢いの安室さんの袖口を、私は掴む。
「待って!」
「っ!?」
──すかさず割り込んだのは、テレビの声だった。
【それでは続いて、最優秀脚本賞の発表です!栄えあるこの賞に輝いたのは……なんと!映画の脚本を手掛けたのはこれが初めてというベストセラー作家!】
うん、ごめん。もうお察しだろうけどどうせなら最後まで見させてくれ。
【「
(キ……キタァーッッ!!)
(……)
(……)
2023/06/11
気づいたら時間飛んでやがる
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色 - すっごく!!面白いッス!!!それにこんなに長く続けてくれている方は初めてで長く楽しめるのが嬉しいッス!!!主人公ちゃんの秘密とかすごい気になるし、このくっついてそうでくっついてないところとか、すげえキュンキュンくるッス!!!俺、感動ぅ(´;ω;`)って感じッス!! (8月2日 21時) (レス) @page34 id: 9c759aa54d (このIDを非表示/違反報告)
さくら(ふぶきち)(プロフ) - 夢さん» 思い出して貰えてとても嬉しいです……更新頻度も展開も未だ亀ペースでホントに申し訳ない……また遊びに来て下さい! (2023年5月5日 0時) (レス) id: 8478d38e5a (このIDを非表示/違反報告)
夢 - コナンくんの映画を見てこの夢小説をまた読みたくなって一気読みしましたwこれで10週目くらいです…毎度毎度きゅんきゅんが止まりません!!!更新無理なさらず頑張ってくださいね! (2023年4月21日 7時) (レス) @page25 id: 4569fd3783 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(ふぶきち)(プロフ) - ユナ@前垢消えたさん» 一気見お疲れ様です。そして嬉しいです、ありがとうございます。 (2023年4月20日 21時) (レス) id: 82d53c230a (このIDを非表示/違反報告)
さくら(ふぶきち)(プロフ) - 紅葉さん» ありがとうございます。私としても、大変光栄なコメントありがたく感じています。今後も更新頑張っていきますね。 (2023年4月20日 21時) (レス) id: 82d53c230a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら | 作成日時:2022年5月29日 0時