【名探偵コナン】自宅にカチコミされるとか聞いてない【ギャグ/赤井秀一】

#495 ページ19

「携帯を取った時、利き手が塞がっていたのでは？」
「……もしくは"右手で"取らざるを得なかったか」


　昴さんが提言した可能性、どうやら安室さんは同意はするつもりはなさそう。話を続けながらミルクポットを手に取り、トポトポと自分のカップに注いでいる。


「(えーと、安室さんの言う通り右手だったのが偶然じゃなく敢えてだったとすると……)」


　遺体から焼け残った指紋と携帯から採れたそれは同一人物、でも肝心の秀さんの指紋はどこにもない。
　つまりゴイタイさんの正体は「生前にその携帯を手に取った秀さん以外の誰か」って事になる。その誰かさんがあれやこれやで秀さんの身代わりに……あ、だから「死体スリ替えトリック」って事か！


「さて、ここでクエッション……Aさんはどう考えますか？」
「んぐっっ、わ、私ですか？？」
「言ったでしょう？貴女の意見も聞きたいと」


　いきなり話を振られて、無意識に角砂糖を放り込んでいた甘ったるい紅茶を詰まらせかける。危ない危ない、あとちょっとで洋服に溢す所だった……！！


「例の携帯なんですが。死んだ男が手に取る前、床に落ちた所を三人の男が順に拾おうとしたんです」


　続けて淡々と三人の特徴を述べていく。拾おうとした順に脂性の人、首にギプスをつけた人、ペースメーカーを埋め込まれた人……ふむふむ。


「三人の中で指紋が残っていたのは一人だけ……誰だか分かりますか？」
「……多分ですけど、ギプスつけた人ですよね？二人目の」
「ああ、僕も同じ意見ですよ」
「ほほほ本当ですかっ！？」
「最初の男性は自分の指紋を拭き取ったと思いますし、三番目の方は拾いすらしなかったでしょうから」


　昴さん……もとい、超絶売れっ子推理小説家さんと推理が合致したのが嬉しくて、安室さんが私の方をジッと観察しているのにも気づかずついつい地で反応してしまう。


「ええ正解ですよ。でも肝心なのはそこじゃないんです」
「肝心……あ、例の殺された人が“自分の指紋が付かないように工夫してた事”ですか？」
「ええ。恐らくこうなることを見越して、あらかじめ指先に……」
「コーティング、ですか」


　昴さんがぽつりと口にした単語に、私は首を傾げた。
　指先の塗装(コーティング)──つまり指に何かを貼るか塗るかして指紋がつかないようにしてたって事かな。え、地味に日常生活の負担じゃない？？本とか読みにくそう


(まあオシャレあるいはトリック成立の為なら多少の犠牲は仕方なしって事ですかね……)
(おしゃ……？？まあそうですね)

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2023/06/11

気づいたら時間飛んでやがる

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