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「赤井秀一が生きている、ですって?」
「ええ」
一瞬の間を置いて「あり得ない」と一蹴するベルモットの言葉をきいても、笑い飛ばされた男は怯むことも表情を歪ませることもなかった。
「証明してみせますよ。僕の推理が合っているかどうか」
「ふうん?一応居場所は掴んでいるようね。その亡霊さんの」
「……ええ、まあ」
ベルモットはそこまで聞くと、興味を無くしたように視線を手元に逸らす。話半分にしか信じていないのは明らかだったが、バーボンがそれを気にすることは無かった。
「──あの子も同じようなこと言っていたわね」
「っ」
数秒の間を置いて、ベルモットが発した言葉には分かりやすく動揺を返していたが。
「……あの子、ですか」
「あら。分からないとでも言うつもり?……ホントkittyの事になると調子が狂うみたいね、バーボン」
バーボンが動揺した姿を見せると、途端にその唇は弧を描き嬉々として話し続ける。
「もし貴方の推理を聞いたら、あの子どんな反応するのかしら?」
「さあ……別に気にすることではありませんよ」
「あらそう。つまらないわねえ」
彼女があの時から信じていたのは、単に自分自身の直感に自信があったからか。それとも──……
「(……いや、今考えた所で意味の無い話だ)」
経緯はどうであれ、今現在の神崎Aは赤井が生きている事を知っている。それは今までの様子を見ても間違いないだろう。
奴がどういう経緯で彼女を利用していたのか、今現在、彼女をどうやって守るつもりなのか。
全てこの手で暴いてみせる……!
──
「ほ……ほわぁ〜……」
一方ところで工藤邸のリビング。
Aはテレビ真正面のソファーに深々と腰掛け、半ば圧倒されるように画面に釘付けになっていた。
「凄……有希子さん、全然緊張とかしてないですね……」
「この程度お手の物、といった所だろうね。もう賞をあげたいくらいだ」
「こ、これが終わるまでは我慢して下さいね?」
有希──ゲフン、画面内の優作さんは時折回されるカメラに気がつくと、微笑みながらヒラヒラと手を振っている。その対象が単に視聴者なのか私達なのか、真実は当人以外知る由もない。
「(私もあのぐらいポーカーフェイスこなせるようにならなアカンのか……だろうな……)」
「気にする事はない。彼女には彼女の、君には君の適した振る舞い方がある筈だよ」
「ゆ、優作さん……っ!!」
「まあ私も君の彼氏のフリを完璧にこなす自信がないからね、多少は大目に見てくれると嬉しいかな!ハッハッハ」
「……」
この妻にしてこの夫あり。脳裏にそんな言葉がよぎった瞬間だった。
2023/06/11
気づいたら時間飛んでやがる
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色 - すっごく!!面白いッス!!!それにこんなに長く続けてくれている方は初めてで長く楽しめるのが嬉しいッス!!!主人公ちゃんの秘密とかすごい気になるし、このくっついてそうでくっついてないところとか、すげえキュンキュンくるッス!!!俺、感動ぅ(´;ω;`)って感じッス!! (8月2日 21時) (レス) @page34 id: 9c759aa54d (このIDを非表示/違反報告)
さくら(ふぶきち)(プロフ) - 夢さん» 思い出して貰えてとても嬉しいです……更新頻度も展開も未だ亀ペースでホントに申し訳ない……また遊びに来て下さい! (2023年5月5日 0時) (レス) id: 8478d38e5a (このIDを非表示/違反報告)
夢 - コナンくんの映画を見てこの夢小説をまた読みたくなって一気読みしましたwこれで10週目くらいです…毎度毎度きゅんきゅんが止まりません!!!更新無理なさらず頑張ってくださいね! (2023年4月21日 7時) (レス) @page25 id: 4569fd3783 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(ふぶきち)(プロフ) - ユナ@前垢消えたさん» 一気見お疲れ様です。そして嬉しいです、ありがとうございます。 (2023年4月20日 21時) (レス) id: 82d53c230a (このIDを非表示/違反報告)
さくら(ふぶきち)(プロフ) - 紅葉さん» ありがとうございます。私としても、大変光栄なコメントありがたく感じています。今後も更新頑張っていきますね。 (2023年4月20日 21時) (レス) id: 82d53c230a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら | 作成日時:2022年5月29日 0時