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【──さあ、長らくお待たせ致しました。ただいまよりマカデミー賞授賞式を開催致します!】
秀さんがこの家を出てから、一時間程経過した頃。ワアアッと賑やかな歓声と拍手が巻き起こった。優作さんは隣で優雅に足を組んで眺めてる。
逆に私の方はというとさっきまで「どの作品がどういう話か」なんて優作さんを質問攻めにしていた癖に、いざ幕が上がると内容は一切頭に入って来なかった。カチコチに固まってソファーの上にただ乗っかってる状態だ。
『覚えていて下さい。敵であろうと無かろうと、僕は……貴女の味方にはなれません』
今までのゼロさんを思い返していてふと思い出した言葉。いつぞやのベルツリー急行で、銃口を向けながら言っていた……あれ、こういう事になるって意味だったのかな。
「どうかしたかい?随分と険しい表情だね」
「んん……ちょっと、今答えが出ないであろう疑問について考えてました」
「ほう。ではいつかは答えが出るのかな」
「そですねえ、今夜中には分かればいいなって」
──ピン、ポーン。
「!」
下がり眉で優作さんに応じた直後。
テレビ音声と反対の方向から、よく通るインターホンが響いた。
不意打ちを食らって肩を跳ねさせる私を置いて、優作さんはスタスタと向かいインターホンの受話器を手に取った。
「はい」
『宅配便です!』
「(嘘つけェッ!!)」
とは思いつつも、どうにか心の中に留める。バチクソゼロさんの声だったじゃん!隠す気微塵もないじゃん!!
動揺する私を置いたまま玄関に向かう優作さんに気づいて、流石に一人で行かせるよりはと思い小走りで着いていった。
「ゆ、優作さんその落ち着きっぷり凄くないです!?」
「そうかな?ただの話好きの宅配便の人だと考えれば慌てることもないだろうと思ってね」
「……その大胆不敵な感じ、なんか昴さんぽさ感じます」
「それは良い。君もいつも通り、堂々と自然体で行く方がいい」
新一達もついている事だしね、と笑う優作さん。
そうだった。私と優作さんだけじゃなくて、そこらじゅうのカメラから今も私たちを見守ってるであろうコナンくん……それに別行動だけど後藤さんや、秀さんもきっと一生懸命動いてる筈。
さっき秀さんと別れた玄関扉を前にして、私は胸元のブローチをキュッと握りしめる。
「では、お互いベストを尽くすとしようか」
そう言って、優作さんはなんの躊躇いもなくドアノブに手をかけた。
2023/06/11
気づいたら時間飛んでやがる
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色 - すっごく!!面白いッス!!!それにこんなに長く続けてくれている方は初めてで長く楽しめるのが嬉しいッス!!!主人公ちゃんの秘密とかすごい気になるし、このくっついてそうでくっついてないところとか、すげえキュンキュンくるッス!!!俺、感動ぅ(´;ω;`)って感じッス!! (8月2日 21時) (レス) @page34 id: 9c759aa54d (このIDを非表示/違反報告)
さくら(ふぶきち)(プロフ) - 夢さん» 思い出して貰えてとても嬉しいです……更新頻度も展開も未だ亀ペースでホントに申し訳ない……また遊びに来て下さい! (5月5日 0時) (レス) id: 8478d38e5a (このIDを非表示/違反報告)
夢 - コナンくんの映画を見てこの夢小説をまた読みたくなって一気読みしましたwこれで10週目くらいです…毎度毎度きゅんきゅんが止まりません!!!更新無理なさらず頑張ってくださいね! (2023年4月21日 7時) (レス) @page25 id: 4569fd3783 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(ふぶきち)(プロフ) - ユナ@前垢消えたさん» 一気見お疲れ様です。そして嬉しいです、ありがとうございます。 (2023年4月20日 21時) (レス) id: 82d53c230a (このIDを非表示/違反報告)
さくら(ふぶきち)(プロフ) - 紅葉さん» ありがとうございます。私としても、大変光栄なコメントありがたく感じています。今後も更新頑張っていきますね。 (2023年4月20日 21時) (レス) id: 82d53c230a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら | 作成日時:2022年5月29日 0時