【名探偵コナン】最強狙撃手決定戦とか聞いてない【ギャグ/赤井秀一】

#41 ページ42

「──なるほど？それでみんなを連れて避難ってことね」
「うん！」


　哀ちゃんがみんなの場所を教えてくれたので、向かう途中に説明をした。


「で、でも犯人がここにいるなんて……」


　蘭は不安そうな顔をしている。
　そりゃそうだよね、殺人犯がすぐ近くにいる上に、頼りになる大人もいないんだもん。


「大丈夫、FBIの人達も今向かってくれてるから！私達はみんなで下に降りるだけ。ね！」
「……うん」


　明るく振る舞えば、蘭の口角が少し上がる。
　駆けつけたのがカレシくんじゃなく私だったのは申し訳ないけど……来たからには全力でセコム頑張るよ！エイエイオ


──キャアッ！！

「(前向きになろうとした瞬間人の心折るのやめてくんねえかな)」


　遠くの方から悲鳴が聞こえたので心の中の盛り上げはキャンセルされました仕方ないね。でも、グチグチ言うのは後回し！今出来ることをしないと！


「……蘭、園子から離れないで。財閥のお嬢様って気づかれたら園子が危ない」
「え、Aっ！」


　声が聞こえた方向めがけ全力ダッシュを決め込んだ。ちょっと脚の痛みが強くなったけど、そんなことは気にしてられない。
　これ以上みんなを傷つけたりなんかさせるもんか！！
──

「チッうるせぇガキが！！」


　怒号に近い、大きな声が室内に響く。泣き叫ぶ歩美を無理矢理抱え上げ、マシンガンを子供たちに向けた。
　声の主……犯人は人質として歩美を連れ、エレベーターへ向かう。


「いいか？大人しくしてろよ。コイツは借りて──」
「ソイヤァ゛ーーーッッッ！！！」
「ッ！？」


　同時に、物陰を経由して背後に回り込んだAが飛び込んで奇襲をかける。驚いた男の隙をつき、歩美を引き剥がした。


「(歩美ちゃんは……っよかった、どこも怪我してない……！)」


　ってか子供を平気で人質に取るとかあの男マジでクソ外道では！？園子を気絶させてるのもそうだけど、視界に入った瞬間に体が勝手に動いてたわ！！そのせいで脚がメチャ痛いけどね！！


「おねーさんっ、ひぐっ、おねーさぁん……っ」
「よしよし……大丈夫だよ歩美ちゃん」


　今は歩美ちゃんを抱えたまま床に這いつくばってる。伏せた時、完全に言うことを聞かなくなった脚は後回しにして、上半身だけを起こす。


「哀ちゃんの所まで、走れる？」
「うんっ」
「吉田さん、こっちよ！」


　考えを汲み取ってくれたのか、哀ちゃんは駆け寄った歩美ちゃんをしっかり抱きとめていた。


「──テメエ」


　動けないままの私の背中に、怒りの籠った声が降りかかった。

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