【名探偵コナン】最強狙撃手決定戦とか聞いてない【ギャグ/赤井秀一】

#32 ページ33

「う〜ん……」


　翌日。
　ベットに座って片脚をパタパタと動かしてみた。怪我の具合は「昨日よりちょいマシ」といった程度。気を抜くと痛みが走るので完治にはまだかかる……気がする。


「(走ったり暴れたりしないでって言われたけど……ま、歩けるだけ儲けモンか！)」


　気を取り直して退院準備を終えた。トコトコと廊下を進み、“世良真純”と書かれたドアに手をかける。


「あ、A来た！」


　入り口からひょこりと頭を覗かせると、蘭が声を上げた。真純ちゃんもパァッと明るい表情になる。


「A！普通のカッコしてるってことは……Aは退院なんだな？」
「うん。真純ちゃんの方はゆっくりでいいから、しっかり治してよね！」


　ニッコリと笑いかけようとして……ハッと気づいた私は、大慌てで真純ちゃんに詰め寄る。


「とと、というか真純ちゃん起きていいの！？寝てなきゃ！」
「へーきだって。ホラ」

　
　差し伸べられた手を反射的に握れば、きゅっと握り返してくれる。ほんのりと温もりを感じて、自分の中の動揺が少し治まった。


「あ、A、ちょっと世良さんと一緒にいてくれる？売店行こうと思ってたの」
「合点承知でお安い御用のアイアイサー！！(要約:OK)」
「ケガした割にそーいう元気は有り余ってんのね」
「ふふ、いい事じゃない？」


　ぴしりと敬礼して、蘭と園子を見送るポーズを取る。
　病室のドアに向かう蘭達の会話を聞き流しながら椅子に座った。


「……それより、この弾がAに当たらなくてよかった。ボクはこの程度で済んだけど……キミの心臓に当たる可能性だってあったし」


　ベッドの上から動けない状態の真純ちゃんは、そっと自分の包帯部分に手を添える。


「あ、あれはコナンくんを狙った弾だったと思うから、私のことはそこまで心配しなくても……」
「それでも、Aのことは絶対ボクが守るって決めてたから」


　見慣れた色の視線が、自分とかち合う。秀さんとそっくりの瞳なので思わずドキリとしてしまうわね。


「だって姫を守るのは、騎士の役目だろ♡」
「あ、ハイアリガト……」


　い、いつも通りのセリフ(とウインク)だからこそ余計に包帯が痛々しい……待ってやがれよ犯人、ゼッテエ見つけだして仇取ったるかんな……！！

　背中に怒りの炎を背負った直後、廊下から「あれ、コナン君一人で来たの？」と蘭の声がうっすらと聞こえてきた。来やがったわねヤツが


(ん？死神のお見舞いってワード違和感しかないな)
(A姉ちゃん、人の顔見てヘンな顔するのやめて)

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