蝶の舞う呪い4【呪術廻戦】

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『帰れ』




もう一度強い口調でそう言い放つ



普段の温厚な彼女の姿はない






虎杖「蝶狐…？」




虎杖は彼女に声をかけるが

その目が自分と合わさることは無かった







五条「A」




再び五条が名前を呼ぶ



それでもAは少し下を向いていて

やはりその目と繋がることはない



彼女の拳はきつく握られ


握られた力の強さで肌の色が変色した




五条はそんな彼女の元へ歩いていく






その行動に閃を含め

他の使用人も前に出ようとしたが


彼女がそれを咎めた









彼女の前まで来た五条は



彼女の右手を取った







そのきつく結ばれた指先を解して

解けた指と指の間を自分の指で埋めていく



もう手が握られないように


自分の手を挟んで口を開いた








五条「優しいね、Aは」




『はっ、？』





五条の言葉にAはぽかんとした





仮にも同級生に怒鳴りつけておいて、自分が優しい？


そんなはずはない



向こうからすれば訳が分からない事をした



助けなかったし、逆にそれを手伝った







五条「"殺さなかった"ね、3人共」





続けて紡がれた言葉に目を開いて喉を鳴らした





五条「強く言って誤魔化してたみたいだけど

いつもは"追い返せ"なんて言わないし



関係なく"殺せたよね"？



普段のAなら」





五条の言う通り、彼女は3人をすぐ殺すこともできた



いや、殺さなくてはいけないのだ、本当は




家柄のせいで苦悩を耐えてきて尚、

それでもその上にいくつもの苦痛を積み重ねられる






蝶狐家での規則



1.血縁者(家の者)以外に情報を漏らしてはならない


2.必要のない人間関係は作らない



" 3.家の情報を知った偽者は即刻殺害 "



" 4.不法侵入者は即刻殺害 "



" 5.本家の場所を知った者は即刻殺害 "



" 6.情報を提供した者は即刻殺害 "



" 7.使用人含め家の人間に手を上げた者は即刻殺害 "



" 8.現当主に愚行、害を与えるものは即刻殺害 "




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？.その刑を実行するのは


蝶狐家現当主のみとする






数え切れない規則の中に

そういう決まりがあるのだ


だから本来




どんな訳があろうと3人は処刑対象



即刻殺さねばならなかった







『試したんですか』





静かに言葉を紡ぐ







『巫山戯るのも大概にして下さい

私はアンタの遊びに付き合ってやれるほど暇じゃない


余計な仕事を増やすな』






『アンタのそういう所が昔から大嫌いだ』

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