P20:この少女、ただの少女にあらず。 ページ25
〜sideスコッチ〜
『
……なーんちゃって。』
「………………は?」
目の前でぺろりと舌を出して肩を竦めたお嬢さんに、思わず半目になってしまう。
お嬢さんの肩越しに拳を構えたライとバーボンも目を点にしているのが見えた。
『ま、今のは忠告さ。
こんな所でいかにも怪しまれそうなことやってたらそれこそ捕まっちまうからねぇ。』
「…え、あ、はい…?」
俺の頼りない返事にニヤリと笑ったお嬢さんは、俺から奪った拳銃を一瞥するとガチャガチャといじり始めた。
「なっ…!?お嬢さん、それは…!!」
『うーん…。見た感じオモチャじゃ無さそうだけど、後ろのお兄さんが何もしてこない所を見ると、そんなに悪い人にも思えないし、
今日の所は、見逃そうかね。』
拳銃をいじられ、珍しく動揺して止めようとしたライを嘲笑うかのように、お嬢さんの手から
カラン、カラン…
拳銃の弾が滑り落ちた。
「んな…!?」
『はい。これは返すよ。』
ぽん。と俺の手のひらに置かれた弾の抜かれた拳銃を呆然と見つめる。
「(え、最近の子って拳銃の仕組みってわかるもんなの……?)」
『じゃ、私はこれで失礼するよ。』
今だ呆然としている俺に背を向けて扉に向かうお嬢さんに、冷めた目を向けるバーボンに気付く。
……嫌な予感がした。
「……ッ!!」
「ッ、バーボン!!待て!!」
嫌な予感が的中し、お嬢さんの後頭部に向かうバーボンの拳を止めようと手を伸ばすも、当然届かない。
「…バーボン!!」
ようやく気づいたライもバーボンを止めようと手を伸ばしたが、駆け出したバーボンには届かなかった。
「…え。」
バーボンが、宙を舞った。
正確にはお嬢さんが、バーボンを投げ飛ばした。
拳の勢いを利用していとも簡単に、少女が、あのバーボンを投げ飛ばしたのだ。
『いきなり殴りかかってくるなんて危ないじゃないか。せめて前もって言っとくれ。』
いまだ床に仰向けで倒れ、目を白黒させているバーボンににっこりと笑いかけると、お嬢さんは何かに気付いたように固まっている俺達へと視線を移した。
『そうだ。質問に答えていなかったね。
私の名前はA。工藤Aだ。』
そう言うと、お嬢さんは…いや、Aちゃんは呆然と固まる俺達を残し、屋上から出てその扉を閉める間際、こちらをちらりと見て小さく笑った。
『じゃあね、お酒の名前を持ったお兄さん達。』
扉は錆びれた音をたてて、ゆっくりとしまっていった。
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赤とんぼ(プロフ) - まゆさん» ありがとうございます^_^料理上手な子なのでこれからもどんどん美味しいご飯を作って積極的に飯テロをしてもらいたいと思います笑 (2019年8月7日 14時) (レス) id: ca77c7ec61 (このIDを非表示/違反報告)
赤とんぼ(プロフ) - あおさん» まっっっっ……ててくださいました…?ありがとうございます! (2019年8月7日 14時) (レス) id: ca77c7ec61 (このIDを非表示/違反報告)
赤とんぼ(プロフ) - クーニャンさん» あ、ありがとうございますぅぅ!続編遅くなってしまい申し訳ない…。これからもよろしくお願いします! (2019年8月7日 14時) (レス) id: ca77c7ec61 (このIDを非表示/違反報告)
赤とんぼ(プロフ) - 桜さん» 松田さんですか…。恋愛要素の入る予定は今のところありませんが、頑張ってみます。リクエストも…だいぶ前に頂いていたので、頑張ります…! (2019年8月7日 12時) (レス) id: ca77c7ec61 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 続編おめでとうございます^_^夢主の作る料理、すごく美味しそうでした^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年8月3日 14時) (レス) id: f826ed1a12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤咲まこと x他1人 | 作成日時:2018年6月22日 16時