初めまして、新しい私。

P10:刑事の勘は当たりやすい ページ13

　
　
〜4年前〜



私は珍しく風邪をひき、米花中央病院へと来ていた。

ちなみに、私は病院がとても嫌いだ。

昔は病院なんて行かなくとも、ちゃんと自力で直せたのにねぇ……。



ともかく、私は受付に行くのが嫌で少し病院内をウロウロしていた。



……………今思えば、もし素直に受付に行っていたら………いや、今は止めておこう。





カチ、コチ、カチ、コチ………



私が廊下を歩いていると、やけに大きくその音が響いていた。



『(………時計？)』



迷惑なやつがいたものだ。これは、一言文句を言ってやらねば。



…………私は恐らく、この時熱で頭がもうろうとしていたんだろう。



その音をたどっていく。


しかし…どの病室からも聞こえてこないことに少し疑問を持つ。

今の私は端から見れば、病室の前をウロウロしてる変なやつだろう。



しかし、こんなに大きな音の時計なんだから病室にあれば看護師さんに注意されるものではないのか。



『(……………ん？)』



立ち止まって考えていると、視界の端にチラリと映った赤い箱に目が止まる。



『(……………まさか。)』



私の脳内にひとつの推理が浮かび上がる。

確か、病室の待合室のテレビに、爆弾事件のニュースが流れていなかったか？



孫が、好きだった人が爆死してしまったと言って嘆いていなかったか？





…その人の名は、松田さんじゃなかったか？





背筋に冷たい汗が流れた。



フラフラと、少し奥まった所の赤い箱…消火器の箱の所へ歩み寄る。


『(いや、これは……推理でも、記憶でもない…。……これは………)』



ゴクリと唾を飲み込み、扉を開いた先には……





大きな爆弾が鎮座していた。






『(……これは、刑事の勘だ。)』

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