21話 正気 ページ22
「ニギリ、スシ…」
ぎゅっぎゅっ、と米を握る
どうやら受験者の1人がスシを知っていたようで、列の隙間からチラリと見えた形を真似てみた
料理はあまり得意な方ではないAだったが、米を握るのは楽しかった
手のひらにフィットするように少なめに握ったり、多く手のひらに乗せて熱がったり
早くしなければメンチは満腹になってしまうというのに、シャリ作りに没頭している
調理台一面にスシネタを乗せる前の土台ができてしまった
「うわ！なんだこれ！」
たまたま横を通ったキルアが驚き、大声を出したことによってメンチがこちらに気づいた
かなり怒り心頭な様子だったが、Aの調理台を見るなり眉が下がった
「アンタこれ、魚のせなきゃスシじゃないじゃない」
ちゃんとみてたの？と呆れるメンチに、少し慄く
「あ、その、お米握るの、楽しくて」
つい、と下を向けば、メンチの顔は見えなくなった
何も喋りかけられずに少し経ち、呆れかえって立ち去ったかと思い顔を上げると、優しそうな面持ちで彼女は立っていた
「楽しかった？」
他の受験者の汚れた台を見た後、またAに目を向けた
「たのしかった、です…」
どう受け答えしていいものかわからず、とりあえず素直に答えてしまった
メンチは手前にあったシャリを手にとって口に含む
先程まで他の受験者たちを滅多斬りにしてきた彼女になんと言われるか、不安で仕方なかったAは固く目を瞑った
「米が冷めてる、ネタはのってない」
不合格ね、と吐き捨てるメンチ
でも
「料理が楽しいって思えたなら、アンタ、上手くなるわよ」
「え…？」
目を開けると、優しく微笑んでいる彼女が見えた
「二次試験は終了！合格者はゼロよ！」
背を向け受験者たちにそう告げた
「…美味しく作れるかなぁ」
美味しくできたら、いつかお師匠様に食べてもらいたいな
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かわしき(プロフ) - マニ。さん» コメントありがとうございます！お誘い大変嬉しいのですが、全くこのサイトにログインしないことがあり、反応できないことがありますので申し訳ないですがご遠慮させていただきます。これからも作品を読んでいただけると幸いです！ (11月12日 14時) (
レス) id: 7549c5a25b (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - かわしきさん» ✉️。凄く面白いです！もしよろしければボードで会話したいのですが宜しいですか？返事お待ちしています。 (11月12日 13時) (レス) id: d7c4d06b1b (このIDを非表示/違反報告)
かわしき(プロフ) - かるぴさん» コメントありがとうございます！現在四次試験編のストーリーを考え中ですので、夏くらいにはかためて更新したい所存ですので、ぜひお待ちください！ (5月8日 10時) (レス) id: 7549c5a25b (このIDを非表示/違反報告)
かるぴ(プロフ) - めちゃめちゃ面白いです....！！更新停止なのが残念ですがまた続きが読めることを楽しみにしてます！！ (5月7日 23時) (レス) id: 33666e1c00 (このIDを非表示/違反報告)
ハウ☆(プロフ) - ものくろ。さん» ありがとうございます！占ツクに10年滞在した女の結果がこれです！！更新頑張ります！ (2019年10月29日 9時) (レス) id: 7549c5a25b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かわしき | 作成日時：2017年10月1日 23時
