【黒バス】灰色。【灰崎祥吾】6 (ページ48)

今日:14 hit、昨日:0 hit、合計:10,221 hit

Gray.298 ページ48

.

「おい、なんだよ」

Aの手を掴んで背中で拘束しながら聞くと
俺を見上げながら真っ赤な顔で抗議した。

「く、くるしい、ゆっくりして……」

「はー……まあいいや。とりあえず先シャワー貸して」

手の拘束を解いてからそう言うと、Aは
先程パジャマを投げ置いていた洗面所を指さした。

「え、あ、えと、そこの扉……」

「あーはいはい。つか一緒に入る？」

「……はっ？えっ？」

顔を寄せてニヤリと笑いながら言ってやると
Aは体をフルフル震わせながら顔を真っ赤にした。
俺はククッと笑ってから「冗談ジョーダン」と言うと洗面所の方に歩いていった。

.

シャワーを浴び終えて脱いだ制服の代わりに
部活用のシャツとジャージに着替えて部屋に戻る。

Aはさっきより少し落ち着いたようで
自分の部屋着を持つと頭についている猫を机に置いてから
「私も浴びてくる」と俺とは交代でシャワーをに行った。

下心100%で覗いてやろうかとも思ったが、やめた。

どうせこの後にいくらでも見る事になる。

そう思いながら先にベッドに寝転がって
スマホを弄ったりゴロゴロしたりして、
Aを待つこと約30分。

「ごめん、お待たせ」

と言ってAが戻ってくるのと、
ハッとして俺が自分の鞄を漁るのはほぼ同時だった。

よくわかんねープリントや、雑誌や、
多分ゲーセンとかで取ったガラクタなどを
掻き分けながら漁ってみてやはり無いことに気付いた。

ここ最近、女と遊んでねーから持ち歩いてねぇんだよな。
俺の部屋だったらまだあったっけか……。

勉強用の机に鏡を置いてそれを見ながら
ドライヤーで髪を乾かすAをチラっと見る。

「なあ、A」

「うん？」

Aが持ってるとは思えないし
コンビニまで買いに行くのもめんどくせェ。

……まあ、いいか。無くても。

俺はAの後ろから腰を抱くと「髪とかどうせ乱れるんだからいーだろォ？」とベッドへ移動するように促す。
が、Aはドライヤーを止めると
呆れたように俺を見て長いため息をついた。

「灰崎くん、もう少し雰囲気とかさ……」

「雰囲気？ハッ、んなの気にすんの経験ねェ証拠だぞ」

「な……」

少し顔を赤く染めて小さく口を開くA。
後頭部を押えて空いた口を塞いでやると、小さく吐息を漏らして、黙った。

唇を離す。

「来いよ」

ベッドに腰掛けてそう言うと顔を赤くしながらAもやっと椅子から立ち上がった。