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Gray.294 ページ44

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それからまだ文化祭で賑わう廊下を歩いて昇降口を出ると
校門から外に出て寮の方に歩き出す。

夕方が顔を見せた空を見上げながら灰崎くんの隣を歩く。



「灰崎くんってさー」


「ん」


「こう、自然と歩幅合わせてくれたり、
話す時に屈んで目線合わせてくれたりさ」


「あ?」


「本当に慣れてるよね、女の子に」



灰崎くんの方を見ると「何言ってんだコイツ」
と言わんばかりの顔で見返してきた。

が、すぐにニヤニヤどした笑身を浮かべると
慣れた手つきで私の肩に手を回して顔を寄せてきた。



「ンだよ?今まで遊んだオンナにヤキモチ妬くなって」


「妬いてない」


「妬いてんじゃん。カワイーなァ?」



肩から、腕、腰に撫でるように掌が移動していく。

ゾクゾクとした感覚に身体を震わせながら、
灰崎くんに身を委ねて寄りかかると
腰に置かれた手がスっと顎に移動して、

彼の唇が慣れた動きで唇に移動した。



「……んっ」



一瞬だけ塞がれてすぐ唇が離れると眼前に灰崎くんの顔が映る。



「マジでマスク越しで泣かれてた頃が懐かしーわ」


「……」


「っつーか俺の部屋で続きするー?」


「疲れてたんじゃなかったの?」


「ベッドで疲れ癒してくれても良いぜ?」


「さいてー……」



再び歩を進めると灰崎くんも私の歩幅に合わせて歩き出す。
そして、あまり会話も無いまま間もなく女子寮に辿り着いた。



「じゃあ、明日……は振替で休みだから明後日ね」


「マジで続きしねーの?」


「……っ」



目の前まで詰め寄られてふわっと香水の匂いが鼻腔に入り込む。
懐かしい匂い。しょうちゃんの匂いだ。

見た目も中身も身長も体格も
……全部、昔と変わってしまったけど

でも、目の前に居るのは確かに
小学校の頃に過ごした"しょうちゃん"なんだ。



「とりあえず……さ、ご飯食べてく?」


「お?てコトは部屋入っていーの?」


「うん、いいよ」



私は平然を装って入口の電子ロックを解くと、
扉を開けてエントランスに入った。

灰崎くんも扉を支えて後から入ってくると
手が離れた扉は閉まり、ガチャッと再びロックが掛かった。

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マリイ - ミリイのリクに虹村とこのままが良いって言う奴いるからミリイが怒ってる そのコメに返信するから余計に怒った ミリイに全て聞かないとダメ (2019年8月24日 14時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:由麻 | 作成日時:2019年8月8日 0時

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