検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:10,211 hit

Gray.293 ページ43

.


ー貴女side



それから三人で残りの文化祭を楽しんだ。

もっちー先輩のカフェでお茶してから
灰崎くんの提案で唐揚げを食べ歩きして、
図書館の古本市で黒子くんがいくつか本を買っていた。

それからも気になる所を回って居たけれど
そんな最中に黒子くんの携帯が鳴り響いた。



「もしもし。……あ、カントク……はい、分かりました」



短い電話の後で携帯をしまうと
私達の方を見て申し訳なさそうに眉を下げた。



「すみません、新幹線の時間が」


「あ?ンだよテツヤ、もう帰んのかよ」


「はい、今日はとても楽しかったです。
お二人に久しぶりにお会いできて、良かった」



そう言って会釈をすると「それじゃあまた」と黒子くんが背を向けた。
それを呼び止めたのは驚く事に、灰崎くんだった。



「テツヤ」


「?……はい、なんでしょうか?」



振り向いた黒子くんに、灰崎くんは少しだけ擽ったそうに頬を掻く。



「あー……なんかまたあったら連絡しろよ。練習試合とか」


「……」



黒子くんがビックリした顔で固まる。灰崎くんが「ンだよ」と睨むと驚いた表情のまま黒子くんが口を開いた。



「……いえ……まさか灰崎くんの口からそんな言葉が出てくるとは」


「あ゙?」


「灰崎くん根はいい子だからねー」


「僕も薄々そうなんじゃないかと思ってました」


「ふざけんな!」



灰崎くんは不機嫌になると足音を強く立てながら
背を向けて廊下を歩き出してしまった。

私は一度、黒子くんの方を見ると手を振った。



「じゃあ、またね!」


「はい、また」



黒子くんとゆっくり振り返してくれた。

そして背を向ける黒子くんを見送ってから、
私は振り返ると灰崎くんの後を小走りでついて行く。



「灰崎くん!どこ行くの?」


「帰る。試合して疲れたし帰って寝る」


「え、文化祭もう回らないの?」


「散々回っただろーが」



階段を上るとスタスタと廊下を進み、
一般参加者の立ち入り禁止の札を超えて
荷物置き場にしている飽き教室に入ると荷物を手に取った。

どうやら本当に帰る気らしい。



「お前は?帰んの?」


「んー……」



私は少し考えてから自分の荷物を手に取った。

Gray.294→←Gray.292



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (26 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
80人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

マリイ - ミリイのリクに虹村とこのままが良いって言う奴いるからミリイが怒ってる そのコメに返信するから余計に怒った ミリイに全て聞かないとダメ (2019年8月24日 14時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:由麻 | 作成日時:2019年8月8日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。