【黒バス】灰色。【灰崎祥吾】6 (ページ41)

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「望月」

「そろそろさん付けくらいしろ」

「こっからボール全部黙って俺に寄越せ」

「は？その傲慢さ久しぶりに聞いた、な……」

望月は俺の様子を見ると息を吐いて「何、なんかテンション上がってるのか」と眉を下げながら笑った。

テンション上がってる？ただイラついてるだけだ。

昔のことを思い出したからだろうか。
それとも虹村の言葉を思い出したからだろうか。
Aが変な事を言ったからかもしれない。

あー、ほんっと嫌いだわ。キライキライ。虹村マジ無理。

「……ま、何か楽しそうだし良いけどな」

望月はそう言って俺の背を叩くと自分のポジションに戻って行った。

そして第2Q終盤同様に、俺は第3Qの10分間ずっとボールを回してもらってひたすらゴールに走った。
誠凛の奴らを押し退けてダンクを決める度に気持ちが良い。

「っしゃあ！次も俺にボール寄越、んおっ！？」

一歩踏み出すと、つるんっと滑った。
自分の汗でそのまま転けると盛大な音に試合が止まる。

「大丈夫か？」

「あー、ワリーワリー、へーき……」

呆れた表情と声の望月にしっしと手を振ると立ち上がろうと手をつく。
別に音だけ盛大なだけで怪我も大した痛みもない。

「灰崎くん！大丈夫？手とか足捻ってない？」

『オイッ、大丈夫か？手とか足挫いてねぇだろうな？』

「……ハハッ！……へーき」

コートの外からの声が昔の虹村と同じ事を言っていて思わず笑ってしまった。

やっぱりお似合いって奴なんだと思った。

立ち上がると、得点板を見る。

82対53。
ほとんどたった一人で誠凛に大差をつけてしまった。

それでも、誠凛の目は死んじゃいない。

「いいねェ、おもしれぇじゃん」

帝光時代にこれだけの差つけたらきっと、
諦めた顔で舌打ちでもされてたんだろうな。

練習試合とはいえ折れてねーなら楽しめそうだ。