【黒バス】灰色。【灰崎祥吾】6 (ページ36)

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それから第2Qの残り全部、俺にボールを回させた。
自分の好きなようにプレイしてゴールを決めていると、
第2Qが終わる頃には44対44。同点で20分のハーフタイムに突入した。

視界の端にタオルを配るAを捉えながらジャージを羽織る。
そのポニーテールの結び目で揺れる猫が映った。

何となくそれを眺めていると

「灰崎くん、バスケって中学からだっけ？」

そんな問い掛けと共にAが振り向いた。

「まあな。小学校の時も休み時間とかたまにやってたけど」

「どうしてバスケだったの？帝光中には他にも部活あったでしょ？」

差し出されたドリンクを飲み干してから立ち上がると「ドリンク足んねぇから自販機付き合えよ」とカラの入れ物を渡した。
Aは首を傾げながらも体育館を出る俺の後ろをバカ素直についてきた。

体育館の外に出てすぐの自販機でスポドリを買うとそれをAに渡す。
Aは目を見開くと「くれるの？」と俺を見上げた。

「ん。やる」

「ほんと？ありがとう！」

受け取ったAが体育館入口の段差に腰掛けたので俺も隣に腰かけた。
Aは美味そうにスポドリを飲んでいる。
その姿を横目で一度見てから俺は空を見上げた。

「別に、どうせどのスポーツやっても出来ちまうからな。……バスケ部にしたのはあの学校が強豪だとか言われてたから少しは楽しめるかと思ったからだ」

「……虹村先輩がね｣

「あ"？」

「あはは、そんなに警戒した顔しなくても」

突然の天敵とも呼べる男の名に思わず顔を引き攣らせるがAは可笑しそうに笑うだけで一頻り笑い済ませてからまた話し始めた。

「灰崎は構ってちゃんなんだよーって。どれだけサボっててもバスケ部を辞めないのは何だかんだバスケが好きで居場所の一つになってるんだって」

「はァ！？あのイカれキャプテンが……！」

「灰崎くんの中で虹村先輩はまだキャプテンなんだね」

「！」

もう口を塞いでも遅いので諦めて息を吐くとAはクスクス笑っていた。そしてふと表情を柔らかいものに変えると吹いた風邪がポニーテールを揺らす。

「灰崎くんは……やっぱりバスケなんでどうでもいい？」

「……」

首の後ろを掻きながらもう一度息を吐くとAの手にあるスポドリを奪って残っていた分を全部飲み干した。

「あ！私のー！」

「あﾞー、うるせ！」

そう言ってペットボトルをゴミ箱に捨てると立ち上がった。