【黒バス】灰色。【灰崎祥吾】6 (ページ33)

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ただ、少しだけ誤算もあったに違いない。
何でどいつもこいつも福田総合を自分らより下に見るのか。

───14対18。

確かに点としては僅かに負けてるが
それはスリーポイントでの点数を取ってくる故の差だ。

そう、何か差があるか聞かれればその差だけ。
向こうはもっと差をつけられると思ってたんだろうがな。

そしてもうひとつの誤算は、

その作戦に割と序盤で俺が気付いちまったって所だ。

「テツヤ、少し動くわ」

「!」

「ボール寄越せ!」

そして俺はすぐにテツヤを抜くと
味方から強引にもボールをカットし奪った。

「おい、言えばパス出すから急かすな!」

少しブーイングが飛ぶけれど無視して一気に誠凛側のゴールにまで走るとスリーポイントラインの手前で止まる。

そこでジャンプボールの時に居たやつが俺の前に立ち塞がる。

コイツ、センターだったか。
まあ…相手が誰だろうといいわ。

「俺ァ、サボりたいんだ。余計な事はしてくれんなよ」

さっき4番のやってたシュートは二種類。
普通のスリーと一歩後ろに下がってから打つスリー。

バリアジャンパー、とか言ったか。

そうだな、そっちにするか。

俺はセンターから一瞬で距離を離すとそのままスリーを放った。

「スリー封じれば勝てんだろ」

俺に追い付けず弧を描くボールを眺める全員の姿。

「しまっ…」

その中でも四番が特に青ざめていた。
…調子に乗ってスリー打ちまくったツケが来たな。

「そんだけ見せつけて来られちゃあな。
奪って下さいって言ってるようなもんだろ」

親指を舐めて、俺は再び、テツヤの前に戻る。
今度は俺が時間稼ぎをする為だ。

「……おかえりなさい」

「……」

その言葉をシカトすると俺はまた試合を傍観する。

4番のスリーポイントが外れるようになり、
そこから、点差が逆転するまでに時間はかからなかった。

試合の流れは特に変わらないまま第一Qが終了する。

23対22。

点数としてはギリギリうちが勝ってる、ってとこだった。

このままでも点差は開けて負けやしないだろう…と言いたいが
それはテツヤを使わなかった場合の話だ。

次から使ってくるだろうなァ。

「お疲れさま」

「……」

ベンチに戻ると、タオルと飲み物を差し出される。
汗は多少かいたとはいえ喉はそんなに乾いてない。

さすがにサボりすぎたかとも思ったけれど

サボれんのもここまでだろうよ。

あー…めんどくせぇ。