【黒バス】灰色。【灰崎祥吾】6 (ページ4)

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Gray.254 ページ4

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ー灰崎side

「灰崎くん」

聞き飽きたレベルの声に顔を向けるとAが俺に紙袋を差し出していた。
それを受け取って中を見るといつしかのシャツで

そういや洗って返すとか言われてたっけ。忘れてた。

「ありがとね。じゃあまた明日」

「…」

そう言って去ったAはクラスメイトの男と合流し
数人の男女と話し合いをしているようだった。

連絡先を交換しているのかスマホを覗いているのも伺えて

特に、さっきの男は他の奴らより明らかに近い。

「…」

男の視線が、スマホからA自身に映る。
Aも顔を上げて目が合うと男は明らかに動揺して目を逸らしていた。

…へぇ。惚れてんのか。…ソイツ一応、彼氏居んのに。
いや、それすら知らねぇのか?となると気の毒に。

「ふふ、目が合っただけで照れるなんて可愛い」

「可愛いゆうなし!ほんと恥ずい…」

「…」

胸中で見下してやるつもりだったのに。
…楽しそうに話す声が聞こえる。

そういう笑顔、誰にでも見せてんの、腹立つ。

「ね、結局どうする?これから遊びに行く?」

かくゆう俺もクラスメイトの中でも絡みのある…仲の良い類の奴らに遊びに誘われているわけだった。

別に断る理由は無かった、が。

席を立ち上がって教室を出ようとするA達の姿に
…ナチュラルにAの肩に触れる男の手に

俺も釣られて席を立ってしまった。

「A」

「…ん?」

自らの名前を呼ばれた事に気付いて俺を見るA。
その姿につられて男も俺を見てゆっくりAの肩に触れていた手を離した。

…呼び止めて、どうするつもりだったんだ、俺。

「どうしたの?灰崎くん」

Aだって俺だけって訳じゃないし
クラスの奴らと絡みがあったって可笑しくない。

それを壊す権利なんて、無いはずなのに。

「…あ、灰崎くん達もカラオケ一緒に行く?」

「えっ」

その提案はAからされた物で
男が明らかに嫌そうな声を出した。

…けどまぁ、今回はその提案に乗ることにするか。

「あー。遊ぶなら人数居た方が楽しいだろ。」

俺を遊びに誘ってきた奴らを見ると特に疑問も持たずに了承の表情だった。
Aが「中学の時も行ったよねー」と俺に近付くと早く行こうという意味なのか
俺の手を掴んでグイグイと軽く引いた。

「あ?行ったか?」

「行ったよ!灰崎くんね、めっちゃ歌上手いんだよ!」

それを聞かされ少し不機嫌な男の表情に
俺の機嫌は少し良くなった。