【黒バス】灰色。【灰崎祥吾】6 (ページ25)

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Gray.275 ページ25

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ー貴女side

五時間目の授業は今日は無かった。
何故かと言うと、クラスでちょっとしたイベントがあったからだ。

「もう席替えの時期かぁ。
短い間だけどお世話になりました」

「おお、こちらこそ?」

隣席の彼とも離れ離れになってしまうかなぁ。
また近くの席だったらいいな。
今度は灰崎くんも一緒がいい。

そう思いながらクジを引いてその番号の場所に席を移動するために机を持つ。

「何番だった?」

隣席の彼に問い掛けられて番号を言うと彼は驚いたように持っていた紙を見せた。
…それは私の隣の席だったのだ。

「え、嘘、奇跡過ぎない!?」

「やっべぇ、こんな事ってあんだなあ」

そう嬉しそうに話す彼だけれど、すぐに何かを決心したように「よし」と言うと
席を立ち、灰崎くんに近付いた。

「灰崎、プレゼントやろうか?」

「…あ?」

近くだったので会話は聞こえてきて
彼は自分の紙を灰崎くんに差し出すと「(人1)の隣の席」と言う。
灰崎くんが驚いたように目を見開いた。

私もその行動に驚く。

私は嬉しいけどそこまでしなくてもいいのに。

「…何のつもりだよ」

「あー言い方変えるわ。
俺、目ェ悪くてさ、前の席と変わってくんね?」

「……」

灰崎くんは一度ため息を着くとその紙を受け取り「そういう事なら変わってやる」と代わりに自分の紙を差し出した。

「俺、灰崎と変わったからまたね」

「う、うん…」

机を持って移動した彼の席は真ん中の二番目。
私は窓側の4番目なので結構離れてしまった。

少しだけ寂しいなと思いながら彼を見ると

いつもと変わらない笑顔で手を振ってくれて

私も振り返すと改めて席を移動した。

もう一度だけ彼を見ると隣の席の女の子と楽しそうに話していて。
良かった、良い席みたいで。

隣の席で今までありがとう。

「そんなにアイツの隣が良かったかよ」

「あ」

灰崎くんが、机を置くと椅子を下ろしてどっかと座った。
そのまま頬杖を付いてこっちを見る。

あれ、隣の席ってこんなに近かったっけ。

「…別に」

彼とだと緊張とかしなかったのにおかしいな。

…ドキドキしすぎて落ち着かない。

「まあいいや。授業終わったら起こして」

「って珍しく教室に居るんだから
たまには授業聞きなよ!寝ないで…!」

うーん…やっぱ隣にして貰ったの間違いだったかなあ。