【黒バス】灰色。【灰崎祥吾】6 (ページ20)

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Gray.270 ページ20

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灰崎はこちらに気付き、なにか弁解でもしようとしたのか近づいてきたけれど

「!…おい、A」

「灰崎。…泣いてる女子に詰め寄らない」

せめて落ち着いてから話をしてあげて欲しくて、今はあえて灰崎を静止した。
灰崎も察したのだろう、押し黙ってくれた。

「先輩…さっきの灰崎くんには言わないでください」

灰崎が戻って来た事でやっと頭が冷えたのか、怒りの感情の方が上がったのか
やっと涙が落ち着いてきたAはゆっくり俺から離れると涙を拭った。

そして、俺に頭を下げる。

「急に泣きついちゃってごめんなさい。
今考えたら恥ずかしかったですね、私」

続けて「話聞いてくれてありがとうございました…仕事してきます」と言うと彼女はマネージャーの仕事を初めてしまった。

「はー、見ろこれ、Aの涙で服が染みちゃったよ」

「……」

「とりあえずそこ、座って」

灰崎は素直にベンチに座ると聞いてもないのに口を開き始めた。

「呼ばれて、最後に遊んだらもう付きまとわないって言われたんだよ…逃げてきたけど」

「Aが来なけりゃヤってたと?」

「……」

黙りやがった。図星かよ。
Aのおかげで少しは変わったと思ってたんだが

…勘違いだったか。

「Aはさ口ではお前が目移りする事とかなんて事ないって言ってるけど
多分、本当は泣くほど嫌だったんだと思うよ」

「何だそれ…彼女でも何でもねぇってのに」

「じゃあ彼氏でも何でもない誰かさんは何でAに見られて焦ってんの?」

俺の言葉にまた灰崎は黙る。
あー、めんどくさいなこいつら。

「お前らもう付き合えよ…」

「は!?」

「っつーかお前はいつからそんな真面目になったんだ?
昔のお前なら迷わずにAの事を押し倒してたろ」

「おい、どんなイメージだ」

「A、ちょっといいか?」

その言葉を無視すると、マネージャーの仕事に勤しむAを呼ぶ。
二人を集めたところで俺は二人を指差し自信満々に口を開いた。

「お前ら二人、練習に私情を引き摺るのはいけないな。
というわけで

お前らの抱えてる問題が解決するまで

お前は部活に来るな!これはキャプテン命令だ!」

「「!」」

とまぁ、完全に石田先輩の受け売りだ。

「はー、これ一度言ってみたかったんだよな。
というわけだから、帰った帰った」

「ちょ、え!?」

「何すんだ、おい!」

俺は二人の背を押すと体育館から追い出した。