【黒バス】灰色。【灰崎祥吾】6 (ページ18)

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机の落書きに始まった嫌がらせは物を隠されたり陰口を言われたりと日を覆う事に増えていった。

中学生じゃあるまいし傷付いたりは別にしなかったけれど

さて、どう対策したものか。

灰崎くんにバレたら確実にキレるだろうからバレないようにしたいところではある。

そんな事を考えながら、体育館の扉を開くと
そこに灰崎くんの姿はなかった。

朝の出席から今日は一日居なかったのでサボったのだろう。

「今日は灰崎くん居ないんですか?」

一応、もっちー先輩に問いかけると「ああ、居たけどなんか女子に呼ばれてたな」と教えてくれた。

呼び出した相手は聞かずともわかったけれど、…私は行ってもいいのだろうか。

普通の用事かもしれないし。

「あれ、連れ戻しに行かないの?
いつもなら何も言わずとも行くのに」

「構いすぎても迷惑かなぁって」

「迷惑ねえ…そういや灰崎も迷惑そうな顔してたな、その女子に呼ばれた時」

そして私の背中を押しながら先輩は「迷惑がってたんだから助けてあげな」と。
私は一度会釈をしてから体育館を後にした。

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居場所が分からないので正直片っ端から探した。
社会科資料室とか屋上とか教室とか
そしてその途中で立ち寄った保健室で何となしに扉を開いて

「んっ…は、A…!?」

後悔した。

「……ぁ」

保健室のベッドの上で、女王様に馬乗る灰崎くんがキスをしていた。
意地の悪い彼女の笑みと驚きと絶望の混ざった表情の灰崎くんの姿。

意味がわからない。

灰崎くんが女の子と遊ぶ事なんて今に始まった事じゃない。
だからその事にショックを受けているんじゃなくて

相手が何で、よりにもよって、

「ご、ごめんなさい」

「ちょ、おい!!」

溢れそうになる涙を見られたくなくて
私は保健室を後にすると逃げるように走り出した。

ああ。

サボりの方がまだよかった。