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Gray.262 ページ12

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やっぱり面倒だから取り返すのはやめよう。
そう思って伸ばしかけた手を戻すと「気になるなら授業でたら?」と期待せずに問いかけた。



「あ?俺ァ授業しに来てんじゃねぇ。
出席日数取りに来てるだけなんだよ。

っつーか気になんねぇし。」



との事らしい。…そういえば朝のHRまでは居るけれど
そのあとは高確率で居なくなる気がする。

朝出席日数だけ得てその後にサボるという巧妙な手を使っているらしい。
ずる賢いというかなんと言うか。

灰崎くんはプリントを私に返すとまた窓辺に寝転がってしまった。



「…。…私は、気になるけど」


「は?」



寝たままこっちを見る灰崎くんに近付くと、私は灰崎くんを見下ろした。



「人間って美味しいのかなって気になるよ」


「え、ちょ」



マスクを下ろしながら、ワイシャツから覗く灰崎くんの首元に顔を寄せる。

そしてそのまま



「あー、」



ゆっくり、噛み付いた。



「…んっ」


「いっ…!イッテェ…ッ」



一度だけ、少しだけ強く噛んで

それからゆっくり離れる。



しばらくその痕は消えなさそうだ。



「…んべ。人間って不味いんだね」


「テメェ…」



灰崎くんは少しだけ怒りを露にしているけれど
「それならしばらくは告白なんてされないでしょ」と私が言うと

表情から怒りが消えた。



「ダメだよ、私以外を見たら」


「っ」



顔を寄せ、一瞬だけ距離を消す。



すぐに離れてマスクを上げると私は「仕返し。…じゃあね」と言って生物室を後にする。

その後は普通にプリントを渡して普通に授業が再開した。



…結構直ぐに、マスクとはおさらばかもしれない。

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マリイ - ミリイのリクに虹村とこのままが良いって言う奴いるからミリイが怒ってる そのコメに返信するから余計に怒った ミリイに全て聞かないとダメ (2019年8月24日 14時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:由麻 | 作成日時:2019年8月8日 0時

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