Gray.175 ページ25
.
お菓子を買って、待っていてくれた監督と先輩について行くうちに綺麗な風貌の大きな建物が見えた。
コンビニを出てから十分後くらいだろうか。
近づいて門を見ると『私立陽泉高校』の文字。
学校と言うにはその建物の見た目は豪華で
手続きを済ませて校内に入ると外からも思ったけれど
天井や廊下は高く、広い。窓も大きい。
一言で言えば教会のような見た目だった。
「うわぁ、紫原くんいいなぁ!こんな所で学校生活過ごせるなんて!」
「うわぁ、無理。迷いそ…」
「同じ『うわぁ』なのに何だその差」
とかなんとか望月にツッコミを入れられるくらいには俺とAとでテンションは違っていた。
校内に生徒はチラホラと居て、制服は少し福田総合と似てるなと思ったり思わなかったりしつつ監督を先頭のまま体育館に向かう。
校内も外もまるで教会だが、そんな校内から渡り廊下を返して繋がる体育館は外は講堂のような見た目だが中は意外と普通の体育館だった。
一瞬だけ、視線が俺達に集まる。
陽泉の監督が連絡を中断させて向こうのキャプテンであろう男とうちの監督と望月との四人で話し始めてしまい
必然的に俺とAだけになった。
「紫原くん、紫原くん!」
久しぶりの再会だが、Aが躊躇いもせずにガサガサと袋の音を立てながら手招きをすると
アツシは昔の変わらない間延びした喋り方で「Aちん〜」と言いながらのそのそとコート内からこちらに向かってきた。
そして近くに来てからジーッと俺を見て「…あ、崎ちんだ〜、頭違うからわかんなかった。
ってか崎ちん、去年、室ちん激おこだったから謝っときなよ〜」と言うと直ぐに意識はお菓子の入った袋に向けていた。
…ムロちん?誰だ?
「それなぁにー?」
「ふっふっふ…聞いて驚けお菓子だよ!
まいう棒にね、ポテチに、ポッキーも!」
「ふおぉぉぉぉぉ!!」
「ふふ、紫原くんの為に選んだんだよ。灰崎くんも一緒に」
考えたけれど、Aが広げたコンビニの袋に頭を突っ込みそうな程に近づけお菓子を漁るアツシの姿に一瞬で吹き飛んでしまった。
「…。…ったく。わざわざ買ってやったんだから感謝しろよ、アツシ」
「えへへ、崎ちんありがと〜」
何か、意外と普通に接してくるし。
お菓子見てる緩んだ顔とか変わってねぇんだなとか思ったり。
「…美味そうだな、アツシ」
「ポッキーの一本でも取ったら今度こそひねり潰す。」
あっ。マジで変わってねぇわコイツ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 47人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：由麻 | 作成日時：2019年3月26日 23時
