Gray.167 ページ17
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───その日、机に突っ伏して眠っていた俺は 真っ白なブレザーを羽織っていた。
珍しくも学校に来てみたがどうやら眠ってしまったらしい。
灰色の前髪が風に揺れる感覚で目が覚めるともう放課後だった。
…髪、少し伸びたな、なんて考えながら
鞄を持ち目元までか掛かる前髪に触れ、欠伸をしながら教室を出た。
「頭痛ってぇ。」
寝すぎたか。そう思いながら廊下を歩き、階段を降りて、靴を履き替えて
そして校門に向かいながらふと目に入った体育館には人だかりが出来ていた。
試合でもしてんのかと思ったが
よく見たら学生じゃない、殆どが大人だった。
「…」
一瞬、何かあったのかと何ヶ月ぶりに体育館に足を動かして
そして聞こえた会話に察した。
「やはり目に付くのは青峰大輝ですかね」
「黄瀬涼太、ルックスで目立ってるだけかと思っていたが結構やるな」
ああ、引き抜きって奴か。
やっと理由が判明して俺は足の向きを門の方に変えた。
早歩きで歩き出す。会話を聞きたくなかったからだ。
受験の事もバスケの事も何も考えたくなかった。
帰ったら寝よう。また頭が痛くなるくらい。
酷い頭痛に侵されれば何も考えないで済む。
そう決意した。
───と同時に腕を掴まれた。
驚いて振り向くとそこに居たのは白いシャツ黒いカーディガンにチェックのズボン
帝光中、ではない制服の男。
「お前、灰崎祥吾だよな?時間はあるか?話がしたい」
「…あ?」
帰ろうとしてた俺を急いで追ってきたのか少しだけ肩で息をしながら
時間があるかと聞きながら俺の腕を少し痛い程に強く掴み離そうとしないその男は「俺は福田総合学園高校の男子バスケ部でキャプテンをやってる、石田英輝だ」と名乗った。
「んだお前、っつかイッテェよ」
少しだけ強く腕を振り解くと反動で石田が一歩下がる。
「すまない、」と、そして
「うちのバスケ部に来てくれないか?」
と。
「……はぁ?」
まさか、
「福田総合学園のエースとしてお前を迎え入れたい」
何で俺なんか。余ってたからか?
それとも何となく?そこに居たから?
そんな疑問は浮かんできた。
けれどその時の俺は、素直に石田の言葉を聞いてしまった。
「…良いぜ、福田総合。行ってやるよ」
それから「監督が体育館の方に居るから」とまた腕を引っぱって連れられ
石田が俺を監督だと言う人に推してくれていた事まではハッキリと覚えている。
寝すぎた頭痛は、消えていた。
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作者名：由麻 | 作成日時：2019年3月26日 23時
