Gray.161 ページ11
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それから、ホームで望月と合流すると俺達は電車に乗り望月の家まで向かった。
最寄りの駅についてから望月の家までは歩いて十五分くらいだった。
「じゃ、飲み物とか持ってくるから適当に寛いでて」
部屋に案内するなり望月はそう言って部屋から出ていった。
Aは意気揚々に「はーい!」と返事をすると勉強道具を出して
静かに待つとか寛ぐとかじゃなくて望月の部屋の中をウロウロと探索し始めた。
「…お前がそのタイプだとは思わなかったわ」
「座ってても暇じゃん。あ、見て去年の写真ー」
「おい」
机の上から勝手に取ると俺に見せてきたのは去年のWC前にチームで撮った写真。
こん時に比べたら結構変わったよな、とか思いながら写真を眺めていると
いつのまに戻ってきたのか飲み物とお菓子をテーブルに起きながら望月が言った。
「ああ、こん時に比べると灰崎は大人しくなったな」
「どういう意味だオイ」
「あの時は皆、お前を邪険にしてたって事」
「ま、今は違うけど」と付け足すと飲み物を飲んでから「じゃあ早速やるか」と言った。
Aは笑顔で返事をすると写真を元の場所に戻した。
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それから、しばらくはAが望月に数学を教えて貰っているのを眺めた。
聞こえてくる数学的な会話は俺には理解出来ない。
「お前、教科書くらい開いたらどうだ?」
と、そんな俺の様子に気付いた望月がそう言うので一応持ってきた教科書を開く。
二年になってから初めて開いたかもしれない。
何だこの問題、訳わかんねぇ。
「先輩、教え方凄く分かりやすいからすぐ覚えられるよ」
とか何とか謎のアドバイスをされたが覚える気なんて無い。
今までだってカンニングの力でやってこれた訳だし
それを口に出すと望月は少しだけ考えた後に紙に何かを書き、それを俺に見せた。
それは数学の公式と答えだろうか。
何となくそれを上から下まで眺め、そして「なんだこれ」と問いかけると
「今見た物をこっちに書いてみてくれ」
と、今見た紙を裏返して、別の紙を俺の前に差し出してきた。
「はぁ?めんどくせ、ヤダよ」
「良いから」
「…チッ」
渋々、紙に書いてあった公式と答えを上から下までつらつらと書いてそれを望月に渡す。
Aも近くにやってきて二人で俺の書いた紙と先程裏返した紙を見比べて目を見開いた。
「嘘…」
「強奪という技やカンニングでまさかと思ったが…
お前、暗記めちゃめちゃ得意だろ」
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作者名：由麻 | 作成日時：2019年3月26日 23時
